子どもは週末に寝坊したほうが良い? 肥満防止には“睡眠補填”が大事。

2009/11/17 13:09 Written by Narinari.com編集部

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仕事にプライベートに何かと忙しい現代社会、睡眠時間が削られる毎日を過ごす人も多いだろう。しかし、人間にとって睡眠は健康を保つための大事な行動の1つ。充分に休まないと疲労感が抜けず、集中力低下を招くなど、体への負担も大きい。さらに最近では、睡眠不足と肥満の関係性を指摘する研究結果も聞かれ始めている。今回、中国の香港大学の研究グループは、5歳から15歳の子ども(平均年齢9.25歳)5,000人以上を対象に睡眠と肥満に関する調査を行った。すると「肥満気味の児童ほど、常に睡眠時間が短い傾向がある」ことが判明。そのため、研究グループは「休みの日に長く眠ったほうが、太りすぎになるリスクを減らせる」と指摘している。

この調査は子どもの親に対し、子どもの体重や睡眠時間のほか、生活リズム、食生活を質問・分析したもの。子どもは香港にある13の学校に通う5,159人で、「児童の肥満と、週末、休日の睡眠時間の関連」に注目したという。

調査の結果、香港の子どもの平均睡眠時間は、学校のある平日は9.18時間、休日が10.20時間。研究グループは「子どもたちは休みの間、より長く眠る傾向がある」とした上で、子どものBMI値と照らし合わせて分析したところ、「週末や休日に睡眠不足を取り戻した子(=平日の“睡眠赤字”を補填した子)に比べ、しなかった子のほうが肥満のリスクが上がる」という傾向を導き出した。これについて、英紙デイリー・テレグラフは、1つの見方として「(睡眠時間が長いことが)起きている間の間食を減らし、カロリー摂取の制限を助ける」という可能性を指摘している。

また、同紙は「睡眠不足は体の代謝に影響を及ぼし、疲労を和らげるために間食しがちになり、肥満を引き起こすのはよく知られている」とも。そして、「子どもの週末の寝坊が、睡眠不足のパターンをリセットするために重要だということを見出した、最初の研究と思われる」としている。実際この調査では、平日の睡眠時間が平均8時間未満の子どもも「かなりの割合」いたとされ、このうち週末にしっかり睡眠を取らない子どもは「よりウエストが広がる傾向にあった」そうだ。

こうした傾向から、香港大学の研究グループは「短い睡眠時間は、より高いBMI(肥満度指数)と関係していた」と結論。「週末や休日に長い睡眠を取ることは、児童の肥満リスクを部分的に改善するかもしれない」との期待を示した。ただ、子どもや若者の睡眠と肥満の関係性については「まだ詳しい研究が不可欠」であることも認め、今後の研究継続の必要性があるとしている。

成長期は特に大事といわれる睡眠。肥満という観点からも、特に子どもには日頃からきちんとした睡眠の習慣が付くよう、心がけた方が良さそうだ。


☆過去にも同様の指摘

こうした睡眠と肥満に関する調査は、世界各地でしばしば行われているが、2006年に英ブリストル大学のシャーラド・タヘリ博士が行った調査では、英国の11〜15歳の4人に1人が肥満で、その原因のひとつとしてやはり睡眠不足を挙げている。これについてタヘリ博士は、テレビゲームやパソコン、携帯電話などの普及を子どもが睡眠不足になる理由とし、毎日決まった時間に就寝できるよう、指導することの重要性を説いていた。

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