お金に困り「自分の命名権」を出品、競売中止も企業への売却に成功。

2009/11/11 10:01 Written by Narinari.com編集部

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自分が一生付き合う名前は、多くは身内の願いや、何らかの意味を込めて付けられるもの。自分が何者かを示すモノのひとつでもあり、芸能人が芸名を改名するように、簡単には変えることができない。ところが、19歳のある米国人男性は競売サイト「eBay」に、「自分の名前を好きに付けられる権」を売り出した。いわば「自分の命名権」を売り出したこの男性は、仕事を探すも全く見つからず、お金に困ってアイデアを思いついたという。

今年9月に、米フロリダ州からウィスコンシン州のシボイガンに引っ越したカルバン・ゴスズさん。地元紙シボイガン・プレスによれば、父親と一緒に暮らしているというゴスズさんは、この1か月半で10以上の仕事に応募するも、ことごとく不採用となった。ゴスズさんは「もし1つ仕事が見つかっても、ほかに10人以上応募してるんだ」(シボイガン・プレス紙より)と、米国内の仕事探しに対する厳しさを語る。何も見つけられぬまま時間だけが過ぎていき、金銭的にかなり追い込まれた状態になったとき、「メルセデス」という名の人に会い、アイデアが浮かんだ。

自分の名前が宣伝に使えるのではと考えたゴスズさんは、今月初め「eBay」に「私の名前をどんなものにでも法的に変えます」というタイトルで11月8日までの競売を開始する。「あからさまに汚い言葉よりは、“ロナルド・マクドナルド”みたいな名前になれば良いかな」(シボイガン・プレス紙より)と語るゴスズさんは、最低入札金額を5,000ドル(約45万円)に設定。やや強気なスタート金額を設定したのは、決意の強さの現れにも取れる。「会社名やトイレの落書き、どんな言葉でも名付けられたら、その名前に変える」という大胆なアイデアに、「本気なのか」と質問するメールも数通寄せられたそうだ。

この試みは米メディアで話題を呼び、落札への期待も見え始めたのだが、入札される前に「eBay」から規約違反として、出品を削除されてしまった。結局競売での落札には失敗してしまったが、メディアの報道は良い宣伝となったようで、いくつかの申し出は受けたという。

そして11月6日、申し出を受けた中からフィンランドの家電サイトと合意に達し、5,000ドルで命名権を売却することに成功。新たな名前は「Verkkokauppa Com」に決まった。「“Verkkokauppa”とは、カタログを意味するフィンランド語」(シボイガン・プレス紙)だそうで、ゴスズさんによると「バークーコープー(ver-kuh-KOH-puh)」(同)と読むらしい。

この日の午後、実際に5,000ドルが入金され「本当にお金が手に入るなんて」と驚いたゴスズさん。「家族や友人はまだ“カルバン”って呼ぶだろうけど、これから会う人は“Verkkokauppa”って呼ぶんだろうね」と話し、今週中にも改名手続きを始める予定だという。また、いつまでその名前を使うかについては会社側から示されなかったそうで、ゴスズさんの意思次第で続けるようだ。ただ、AP通信を通じてこの話題は世界中に配信されているだけに、この企業にしてみれば5,000ドル分の広告効果はすでに得られているのかもしれない。

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