中国で売買される「社長電話帳」の実態、全国版の情報は200万人分?

2009/11/10 19:00 Written by Narinari.com編集部

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日本では2005年4月に個人情報保護法が施行されたのを機に、年々取り扱いが厳しくなっている個人情報。しかし、中国では法整備の遅れもあり、個人情報売買の取り締まりがなかなか進まない状況が続いている。そうした中国の個人情報をめぐる問題のひとつに、闇で売買される「社長電話帳」があるという。 

「広東省の社長だけではなく、全国の社長の携帯電話番号を手に入れることができます。全国版はわずか880元。200万人以上の社長の情報です」。これは中国のインターネット上で売買される「社長電話帳」の売り文句のひとつだ。

この「社長電話帳」は中国の小さな企業を中心に、各企業の社長の携帯電話番号を集めた電話帳のこと。「2009年10月版」「2009年9月版」といった具合に、毎月最新のデータ(エクセルもしくはアクセス形式)が販売されているだけでなく、「広東省広州市版」「広東省東莞市版」と、省・市別のデータも販売されている。

価格は販売サイトによって異なるが、あるサイトでは市内版が280元(約3,700円)、省内版が480元(約6,300円)、全国版が880元(約11,600円)で販売されていた。市内版には1万〜数万人、省内版には数万〜数十万人、全国版には数十万〜数百万人の社長の携帯電話番号が網羅されており、携帯電話番号以外にも会社名や社長の名前、住所などが記されているという。

しかし、いきなり「社長電話帳」と言われても、普通は詐欺まがいの“ウソ”と思われるものだが、実際に業者にコンタクトを取った地元紙広州日報によると、業者は「まずはサンプル品を試してくれ」と、社長115人分の個人情報が記載されたエクセルデータを送ってきたそうだ。そして、サンプル品に掲載されている電話番号の中から無作為に選んだ番号に電話をかけてみたところ、10個の番号のうち9個はきちんと相手に繋がり、「かなりの確率で本物だった」(広州日報より)という。同紙が確認したのはサンプル品のため、より多くの個人情報が記載された正規版がどの程度“ホンモノ”なのかは不明だが、あながち“ウソ”とは言い切れないようだ。

中国では利潤目的の個人情報売買は、最高で懲役3年の刑に処される。「社長電話帳」に掲載された情報が“ホンモノ”だとすれば、その売買は犯罪に該当する可能性が高い。

ちなみに、中国では電話以外にもSMS(ショートメッセージ)による営業・宣伝活動が頻繁に行われている。相手の携帯電話番号さえ知っていればSMSも送ることができるため、こうしたデータが重宝されているようだ。

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