「Wii」が賞品の水飲み大会で帰らぬ人に、裁判で15億円の損害賠償命令。

2009/11/03 22:06 Written by Narinari.com編集部

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2007年、米国のラジオ局が主催した水飲み大会に出場した28歳の女性が、短時間で7.5リットルの水を摂取した直後に死亡する事故が起きた。遺族はラジオ局を相手に裁判を起こしていたが、このほど裁判でラジオ局の過失が認められ、賠償金の支払いを命令。その額は約1,650万ドル(約15億円)に上るという。

事件が起きたのは、2007年1月12日のこと。米カリフォルニア州のラジオ局が、賞品として用意した任天堂「Wii」にかけて、「Wiiのためにおしっこ(Wee)を我慢」という水飲み大会を開いた。トイレに行ったり、吐いたりすることなく、いかに水を飲むかを競うこの大会に、3人の子どもを持つジェニファー・ストレンジさんも「子どものためにWiiを獲得したい」と参加。ほか17人のライバルとともに水をどんどん飲み、その速さは「3時間超でほぼ2ガロン(約7.5リットル)」(米放送局ABCより)という量だった。

米紙ロサンゼルス・タイムズによると、大会はストレンジさんとほかの女性の一騎打ちになり、最終的にストレンジさんは2位に。しかし、かなり無理をしてしまったストレンジさんは、実は大会中から異変を感じていた。本人が「妊娠したように見える」と言っていたほどお腹は膨らみ、大会中から頭痛と目まいを訴えていたという。また、米放送局CBSは、ラジオ局関係者の話として「彼女は家に帰る際、体調を崩して頭が痛いと泣いていた」との証言も紹介している。

結局、自宅へ戻ったストレンジさんは、大会の数時間後に帰らぬ人となった。死因は急性水中毒。急速な水の摂取で体内の水分バランスが崩れた場合に起きやすい症状で、ストレンジさんのケースでは脳が腫れて呼吸のコントロールができなくなり、死を招いてしまった。

米紙ボルチモア・サンによると、事件後ラジオ局は大会に関係した10人を解雇したが、警察当局は刑事告発を見送っている。このため夫はラジオ局を提訴し、弁護団は「3,400万ドルから4,430万ドル(約30億円から40億円)の範囲の損害賠償」を要求。これに対しラジオ局側は、「こちらに責任があるとするなら、女性自身の寄与過失で相殺されるべき」と主張していた。つまり大会に参加を決断し、水を飲み続けたストレンジさん自身の責任の大きさも同じという論理だ。

ただ、裁判では大会の様子をラジオで聞き、「危険だ」とラジオ局に訴えたリスナーが複数いたことや、司会者が過去に水中毒に陥った人の話をしていたことなどが明らかにされた。陪審員は全員一致で損害賠償を支払うべきと決定し、その額は約1,650万ドル(約15億円)。「12人の陪審員が適切と思った金額」(米ニュースサイト サクラメント・プレスより)を平均して算出した賠償額だという。

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