昏睡状態で聞いた「息子の声」が生きる希望に、急激に病状が快方へ向かう。

2009/10/12 08:29 Written by Narinari.com編集部

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昔から「病は気から」という言葉があるが、実際に患者本人が前向きな気持ちを持ち続けていると、病気の進行や回復の具合に差が出るとも聞かれる。病気の人に明るい希望を持たせられるかどうか、周囲の支えも病気の治療には大切な要素だ。英国のある女性は今年7月、店で購入したハンバーガーが原因とみられる食中毒にかかり、腎不全を引き起こすほどの重篤な状態に陥った。医師の判断で昏睡状態を保ったまま治療を続けていた女性に、夫は生まれたばかりの息子のビデオを病室で流し続けると、女性は驚くほどの回復を見せたという。

32歳のカレン・モリスロー・クラットンさんが食中毒にかかったのは7月下旬のこと。ウェールズ地方北部のレクサムにあるフィッシュ&チップスの店で、ベジタリアンバーガーを購入して食べたカレンさんは、その後体調を崩して病院に運ばれる。診断の結果はO157による食中毒。その頃同じ店が原因と思われる食中毒のケースがほかにもあり、中には3歳の女の子も含まれていたが、女の子は約2週間の入院を経て退院している。しかし、カレンさんは発作や腎不全を引き起こし、最も重篤な状態に陥った。

カレンさんは回復のスピードが遅く、昏睡状態にした上で治療。そうした状態が5週間余り続いたのだが、このとき、彼女は死を覚悟していたという。治療を続けても病状が回復しない状況に諦めの気持ちが大きくなり、「私は死にたかった」(英紙デイリー・メールより)と当時を振り返っている。しかし、弱い気持ちに包まれたカレンさんに、夫ポールさんと、当時生後10週あまりの息子オリバーくんの存在が勇気を与えた。

カレンさんを見舞うポールさんは、オリバーくんが生まれたばかりの頃のビデオを持参。ベッドの側で流し続けた。感染の危険性から直接会うことができなかった息子の声は、昏睡状態にあっても「聞こえた」とカレンさんは言う。そしてカレンさんは「オリーの声を聞いて、生きなきゃって思った」(英紙デイリー・テレグラフより)と、息子の存在が生きる希望へと繋がったそうだ。

その後は急激な回復を見せ、3週間後には一般病棟に移り、オリバーくんとも待望の対面。カレンさんは、生まれて間もないオリバーくんが自分の顔を覚えているか心配だったそうだが、「私をちょっと観察して、それから溢れんばかりの笑みを浮かべたの」と、その心配は杞憂に終わった。かくして入院から67日後にカレンさんは無事退院し、現在は自宅で静養中。寝たきりの生活で筋肉が弱り、肝臓に軽い障害が残っているものの、そのほかはほぼ完全な状態に戻ったという。

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