牧師が突然の告白「私は以前女性でした」、同性愛反対の教会所属で苦悩。

2009/10/02 11:53 Written by Narinari.com編集部

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米国のある教会で、人々の信頼を集める58歳の牧師が説教の最中に、「私は以前女性でした」と告白。突然の告白に聴衆は驚き、戸惑いながらも、牧師を受け入れたという出来事があった。

このカミングアウトをしたのは、米オレゴン州のエップワース合同メソジスト教会で職を務める、デイビッド・ウィークリー牧師。ウィークリー牧師は2年前にこの教会へ赴任し、すぐに信者らも信頼を寄せたほど、人望のある人だという。そんなウィークリー牧師は、自身の性別で悩み、20代の頃に性転換手術を受けていた“元女性”だ。

女性として生まれたウィークリー牧師は、オハイオ州クリーブランドで育ち、小さい頃から男の子ような服装を好み、スポーツが大好きな活発な子どもだった。10代の時に性転換手術という方法があることを知り、「できるだけ早く、その手術を行わなければと思った」(ABCより)というウィークリー牧師は1972年、21歳のときにホルモン注射を開始。その2年後には体の形成手術を受けて男性となった。58歳の現在、13年前に結婚した2つ年上の妻との間に、妻の連れ子3人と、結婚後に迎えた2人の養子、合わせて5人の子どもを持つ立派なお父さんになっている。

ウィークリー牧師は、男性となった後に牧師として任命された。それ以来地道な活動を続け、神に仕える職務をこなしていたのだが、ウィークリー牧師が過去を公に明かせないのには理由があった。ウィークリー牧師が属する合同メソジスト教会では、以前から同性愛に反対する立場をとっており、その厳しさは「同性婚が合法の州でさえ、式を取り仕切ることを許されない」ほど。ウィークリー牧師にはこのしきたりが懸念材料となり、「(性転換したことを)明かせば職務を外されるのでは」と思い、過去を誰にも話せなかったという。

ただ、長い間秘密にするのは「大きなストレスになった」(ABCより)ウィークリー牧師は、告白するタイミングを待ち続けていた。そして迎えた今年、21歳から39歳となった5人の子どもに打ち明けると、8月30日には220人の聴衆を前に、ついに自らの過去を告白。聴衆は「水を打ったように静かになった」(同)ものの、日頃から人柄を知る人々はすぐにウィークリー牧師を支持し、最後には拍手が起きたという。聴衆からは「これは、彼の人生に対する説教だった」「皆は問題なく受け入れた」(同)との声も上がった。

合同メソジスト教会は昨年、性転換を行った人を聖職者から外すかどうかの採決が取られ、否決されている。次にこの議題が話し合われるのは3年後の2012年。ウィークリー牧師は、次回の採決まで時間に余裕があるこのタイミングでカミングアウトを行い、教会関係者に働きかけて理解を求めたいと考えているそう。伝統が重んじられる閉鎖的な世界で、その働きかけが実を結ぶかどうか、教会の決断の行方が気になるところだ。

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