クレーム無視やニセモノ販売、中国の悪徳通販番組の内情を元社員暴露。

2009/09/15 23:48 Written by Narinari.com編集部

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日本同様、中国でもテレビの深夜帯は通販番組が放送されている。チャンネル数が数十を超える中国では、毎晩数多くの通販番組が放送されており、扱われる商品も実に多彩だ。そして、日本人の感覚では信じられないような価格で家電製品が販売されていたり、商品紹介者のリアクションが「ジャパネットたかた」の数倍大げさだったりと、見ているだけで「中国らしさ」を感じることができる“楽しい”番組とも言える。しかしその内情は、さまざまな問題を抱えているようだ。

今回、地元紙「武漢晩報」に中国の通販番組の内幕を暴露したのは、2年前、北京にある通販会社でテレフォンアポインターの仕事をしていた中国・湖北省武漢出身の女性。。彼女はすでに同社を退職して故郷の武漢に戻っているそうだが、8月24日に「工商網達」で報じられた代理販売の内幕を暴露した記事に刺激を受け、「通販番組の内幕を暴露しよう」と思い立ったそうだ。

この女性の話によると、彼女が働いていた通販会社ではときに「人をだます」ような商品も取り扱っていたという。例えば同社に就職して初めて担当した商品は口臭スプレーだったが、彼女はまず電話で口臭の匂いとなる原因を説明。そして電話の相手が若者の場合は「口臭が臭いと誰からも相手にされなくなり、仕事に支障を来たす」、高齢者の場合は「口臭が臭いと孫から嫌われる」などと、必ず相手の弱みを付く“セールストーク”を添えていた。そして販売していた商品は「ほとんど口臭防止には役立たない」ものだったらしく、案の定、クレームが殺到。しかし、会社のルールで「クレームには一切対応しなかった」というのだから驚きだ。

また、西洋薬と漢方薬を調合した低血糖薬を“神薬”と宣伝して販売したこともあった。商品広告では「中国と西洋の最新科学技術を応用した画期的発明であり、糖尿病に効く」と宣伝。そして、番組では漢方医と西洋医学の専門家に登場してもらったり、芸能人を呼んでアピールしてもらったりしていたそうだ。客の中には糖尿病を漢方薬で根治できると信じている人もいたため、この薬を本当に“宝物”と考えている人もいたという。仮に購入者の病状が改善せずクレームがあったとしても「糖尿病を治療することは難しい」と説明し、「私たちが販売したのは低血糖薬です」と言い訳をしていた。

購入を迷っている客がいれば、その客の電話番号を教えてもらい、会社の別の人間が医者と偽り電話。口臭や糖尿病の“恐怖”を植え付けるような行為も行っていた。ほかにも、ダイヤモンドの指輪の販売では「南アフリカ産」と偽り、人工ダイヤモンドを天然ダイヤモンドとして販売したこともあるそうだ。天然ダイヤモンドの市場価格などを引き合いに出し「特別特価」として格安をアピールしたそうだが、原価は100元(約1300円)もしない粗末な代物だったことを明かしている。

中国の通販番組は、日本のそれとは比較にならないほど過剰な宣伝を行う。そのため、都市部の多くの消費者は「ウソだろ」「どうせ二流品」など、かなり冷めた目を持っているが、こうした通販番組のターゲットはあくまで農村部で暮らす人や農村出身の純朴な人たち。人口が多い中国では、そういった一部の「情報に鈍感な人」が悪徳な通販番組の被害に遭うケースが後を絶たないようだ。

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