無事に誕生すれば世界記録、12人の赤ちゃんを妊娠した女性に警告も。

2009/08/19 13:06 Written by Narinari.com編集部

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誰もが誕生を喜ぶはずの赤ちゃんも、海外では最近、体外受精による妊娠の倫理観を問われるケースが多い。今年1月に未婚で8つ子を出産し、経済面を懸念された米国の「オクトマム」ことナディア・スールマンさんや、5月に66歳で出産し、英最高齢記録となったエリザベス・アデニーさんの話題も記憶に新しいところだ。そして今度はアフリカ・チュニジアの女性が12人の赤ちゃんを妊娠していることが判明。無事に産まれれば世界記録となるが、自然出産を望む女性に対し、母子の体調面を懸念する声が上がっている。

この女性はチュニジアで教師をしているという30代の女性。2007年に結婚したこの女性は、2度の流産を経験したことから不妊治療を決意し、今回、6人の男の子と6人の女の子を妊娠していることが判ったという。女性は「とにかく赤ちゃんを抱きしめて、私の愛のすべてを示したい」(英紙ガーディアンより)と期待を寄せ、夫は「最初双子を産むと思ってたら、もっと多くの赤ちゃんがいるとわかった。数が増えた分、喜びも増した」(同)と話している。しかし、この話題を伝える多くのメディアは、12人もの赤ちゃんの出産に懐疑的だ。

最大の懸念は、12人もの赤ちゃんに母体が耐えられるのか、という点。専門家は「12人もの赤ちゃんを抱えて、妊娠20週目に突入すると危険」「自然の出産は不可能」(英紙デイリー・メールより)との見解を示している。また、英王立産科婦人科学会のピーター・ボーエン・シンプキンス氏は、20週目で女性のお腹が巨大になり、子宮の収容力が問題となると指摘。さらに「(この状態で誕生する赤ちゃんは)集中的な看護が必要なほか、神経面へのダメージも負う」「1人の赤ちゃんが生き残る確率さえ、100に1つのチャンスもない」(同)と警告する。

また、シンプキンス氏は、英紙デイリー・エクスプレスに対しても「子宮はそんなに広がらない」「(12人の赤ちゃんが子宮内に入るとすれば)約7フィート(約2.14メートル)の身長が必要だ」とコメントするなど、12人の出産はやはり“現実的ではない”と見ているようだ。

女性は現在のところ体調面の問題はないとされるが、デイリー・メール紙は性別判定が行われた時点で16週は経過していると推測しており、「彼女の危機的状況が差し迫っている」と伝えている。また、過去の多胎出産例を、8つ子を産んだナディア・スーティルさん以外は「それほど幸運ではなかった」と説明。1996年に11人の赤ちゃんを妊娠したギリシャの23歳女性が、確実な出産のために2人の赤ちゃんを残して、9人の赤ちゃんの出産を中止した例や、同じ年に8つ子を妊娠した英国人女性が医師の警告を聞き入れなかった結果、すべて死産となってしまった例を紹介している。

不妊治療を受ける夫婦にとって、授かった赤ちゃんが「まさに宝物」という気持ちは、誰もが理解できるところだろう。しかし体外受精で多胎妊娠が起きた場合、どのように対処するのがよりベターな道なのか、なお研究と議論の余地がありそうだ。

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