猫が高卒認定試験に合格、無意味な資格発行の教育機関を飼い主が批判。

2009/08/18 20:24 Written by Narinari.com編集部

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米国のある男性が飼っている2歳の猫が、GED(高卒認定試験)をオンラインで受験し、見事に卒業証書を手にした――。思わず「そんなアホな」と言いたくなるような出来事が、米メディアの注目を集めている。日本ではとても不思議なこの話。そこには米国で問題視されている「ディプロマ・ミル」と言われる教育機関の存在があるという。

この猫は、米ジョージア州・メーコンに住むケルビン・コリンズさんが飼っている2歳のメスのオレオ。ある日、オレオはジェファーソン高校という学校のオンライン試験を利用してGEDに合格し、認定証書を受け取った。しかし、誰もが「猫は字を読めるのか」「猫が回答できるのか」「猫がパソコンを操作できるのか」といった疑問を持つに違いない。

同校のオンライン試験の問題は、4択の選択問題を含み、ヒントも出るという体裁。制限時間はなく、どの設問も正解するまでに4回の猶予が与えられていた。

米サイトMSNBCによると、オレオはコリンズさんのひざに座って試験を受け、実際にオレオがキーボードで押したものを答えとして入力。コリンズさんの援助は多少受けたものの、オレオが問題に回答していたのは間違いないという。ただ、「もし問題を間違えたら、一度戻ればヒントを与えられ、どれが正しい答えかわかった」ため、繰り返し作業を行っていった結果、オレオは大部分でA判定をゲットするに至った……ということらしい。

実はコリンズさん、米国で不正な商業活動を監視する団体「Better Business Bureau(米国商事改善協会)」の役員だった。コリンズさんは仕事上で「ディプロマ・ミル」と呼ばれる、お金と引き替えに卒業認定を出す教育機関の調査を実施。その中で、今回のジェファーソン高校オンラインが対象となり、自分の飼い猫であるオレオの協力を願ったそうだ。

オレオのケースでも、コリンズさんは199ドル(約1万9,000円)を支払い、結果として卒業認定を得た。お金を払えば誰でも(猫でも)卒業認定を受けられるのは確かなのだが、問題はそうした教育機関の卒業資格が公認されておらず、就職や大学入試には何の役にも立たないこと。そのため「結局、お金を浪費するだけ」と、コリンズさんは「ディプロマ・ミル」に警鐘を鳴らしている。しかも、その後の調べで、ジェファーソン高校は実在しているものの、オレオが受験したオンライン試験には一切関与しておらず、ジェファーソン高校オンラインは別団体が運営していることもわかった。

GED試験当局のスポークスマンも「GEDはオンラインで行わず、会場で受けるもの」(MSNBCより)と、オンラインで行われているものは資格にはならないと注意を呼びかけている。きちんとした卒業認定を得るには、お金で解決するようなショートカットを選ぶのではなく、当たり前だが本人が努力するほかないようだ。

ちなみに、コリンズさん曰く「オレオはまだ失業中で、届いた卒業証書が役に立つのかまだ試していない」という。

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