投資バラエティ番組「マネーの虎」が米国進出、米メディアの反応は?

2009/08/16 20:51 Written by Narinari.com編集部

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2001年から2004年まで放送された投資バラエティ番組「マネーの虎」(日本テレビ系)。何か新しい事業を興したい一般出演者のプレゼンに対し、百戦錬磨の“虎”(会社経営者・起業家)たちが辛辣な言葉でツッコミを入れていくおなじみの番組だが、この番組の米国版「Shark Tank(シャーク・タンク)」の放送が、米三大ネットワークのひとつ、ABCで8月9日から始まった。

「マネーの虎」の“5人の起業家vs.起業希望者”という、日本でも斬新だった番組スタイルは海外からも高く評価され、日本テレビはこれまで英国、オーストラリア、カナダなど約20の国と地域に番組フォーマット権を販売。「Dragon’s Den(ドラゴンズ・デン)」のタイトルで現地版が放送されている。米国の「Shark Tank」も、日本テレビから番組フォーマット権を購入したABCが制作・放送しているものだ。

「Shark Tank」に出演する“サメ(=虎)”は、日本版と同じく5人。日本ではあまりなじみのない面々だが、当然のことながらスゴイ経歴の持ち主たちなので、簡単にどのような人物なのかを紹介しておこう。

不動産仲介業「コーコラングループ」のバーバラ・コーコラン会長は、ボーイフレンドに借りた1,000ドルを元手にウェイトレスから不動産業へ転身し、成功を収めた人物。「米国で最も成功した起業家の一人」と呼ばれている。「TVGoods.com」のケビン・ハリントンCEOは“インフォマーシャル”の草分け的な存在。“インフォマーシャル”はテレビショッピングなどですっかりおなじみの、体験者などの感想や実験を盛り込みながら商品紹介するスタイルの広告手法で、ハリントン氏はこの手法をいち早く取り入れたことで知られている。

ロバート・ハージャベック氏はいわゆる「ネット起業家」の一人で、90年代のネットブームに乗ってインターネット・セキュリティ企業をAT&Tやノキアに売却。巨万の富を得た。このほかにも世界的なスポーツウェアブランドとして知られる「FUBU」の創設者デイモンド・ジョンCEO、数々の企業への投資で財をなした投資ファンド「オリアリーファンド」のケビン・オリアリー会長が名を連ねている。いずれ劣らぬパワフルな起業家たちで、もちろん全員が億万長者だ。

極めて簡素な作りだった「マネーの虎」とは異なり、「Shark Tank」は重厚なセットの中でプレゼンが行われる。日本版と同様、“サメ”の5人は横一列に並び、机の上には積み上げられた札束。そして、“サメ”は次々と一般出演者に口撃を加える。このあたりの「いやらしさ」は米国版でも健在だ。第1回の放送ではサツマイモのパイ販売を手がける男性や、ブルートゥース機器を体内に埋め込む技術への投資を希望する男性などが出演した。

日本でも物議を醸した「マネーの虎」だけに、「Shark Tank」に対する米メディアの番組評もさまざま。ニューヨークポスト紙は「動きもなく、刺激が少ない」、ピッツバーグポスト紙は「ビジネス通は好きかもしれない」、ハリウッドリポーター誌は「面白い起業家が安定して出てくるかわからない」、バラエティ誌は「快感と憂鬱が少しずつ」など、好意的、批判的な評論が並ぶ。

しかし、中にはシカゴサン‐タイムズ紙のように、「“サメ”たちは、出演者のビジネスからお金を得て、さらに裕福になるだけ」「ドラマがない」「番組を面白くしようとする“サメ”たちの言葉が過剰」など、かなり厳しい論調のメディアも。全体的には、ほかのリアリティ番組に比べて映像が単調であること、一般出演者が“サメ”たちに罵倒されるシーンが心地よくはないことなどを挙げるメディアが多いようだ。

「Shark Tank」の放送は全7回を予定。残りの放送でどのような評価が下されるのか、また、その先にシリーズ化の可能性はあるのか、注目しておきたいところだ。

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