15歳の少年に突然届いた「バスの乗り方合格証」、理由わからず本人あ然。

2009/08/15 15:32 Written by Narinari.com編集部

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何らかの試験をパスしたときに、その証明として与えられる合格証。どんな合格証でも、自分のスキルが評価されることは自信にも繋がり、喜ばしいものだが、身に覚えのない合格証が突然送りつけられてきたら、どのような気持ちになるだろうか。

英国に住むボビー・マクヘイルくんは、成績優秀な15歳の少年。先日、今後の人生を左右するGCSE(全国統一試験)の結果を心待ちにしていたところ、試験の認定機関から届いた封筒の中身を見て驚いた。中に入っていたのは試験の結果ではなく「バスの乗り方合格証」。マクヘイルくんはどこで試験を受けたのかも分からない謎の「合格証」にあ然、家族も爆笑してしまったという。

「バスの乗り方」の認定基準は「バス停に歩いて行ける」「車内では静かに、安全なマナーを守る」「バスが止まるまで立ち上がらず、促されてから降りる」など、15歳の少年にとってはごくごく当たり前なこと。どこかでその様子を確認されていたのか、とにかくマクヘイルくんは「バスの乗り方」の認定基準をクリアしたということらしい。

なぜ、試験も受けていないのに「合格証」が送られてきたのか。英メディアは次のように推測している。

マクヘイルくんは昨年夏、11歳から15歳の子どもを集めてスポーツや地域活動をする3週間のコースに参加。この活動は、ランカシャー州議会によって計画されたもので、夏休み期間を使って子どもたちはスポーツや店の手伝いなどを行ったそうだ。920人が参加したというこの活動は、さまざまな状況下で大人によって行動チェックが行われ、その結果はGCSE試験の認定機関でもあるAQAへと送られた。AQAは送られてきたチェックをもとにさまざまな認定証を発行、子どもたちに送っているという。マクヘイルくんに送られてきた「バスの乗り方合格証」も、このときの活動の評価をもとに発行されたもの、ということのようだ。

この活動に参加する際に、マクヘイルくんは確かにバスを使っていた。しかし、マクヘイルくんは「活動はとても素晴らしく、多くの体験を得る機会を持つことができたよ。でも、この合格証をもらう理由がわからない」と、どこか腑に落ちない様子。父親は「合格証を見た彼の顔は、写真みたいに固まっていた」と面白がったが、「活動は素晴らしいが、機関は資金提供を受けるために認定証を発行したと思うほかない」と手厳しい。この活動には、2万ポンド(約314万円)の政府補助金が使われており、こうした認定証発行に使われるのはムダではないかとの意見もあるためだ。

英紙デイリー・エクスプレスは「バスに乗るような単純な行動に証明書を与えるような機関に、2万ポンドも税金を使う計画に非難の声が上がった」との記事を掲載。同紙にコメントを寄せた教育専門家も「大部分の人は、これはおかしいと思っているでしょう」「基本的な行動の成功を確認するために、証明書を出す必要はない。金の無駄使いで、払っているのは納税者だ」と怒っている。

一方、この活動を主催する団体の責任者は「我々は、彼らの達成と社会的、個人的な成長に報奨を与える」と、合格証発行の目的を説明。マクヘイルくんに与えられた「バスの乗り方合格証」についても、「バスに乗るだけの認定証ではなく、1人で出かけても時間の管理ができる、ほかの人のためにバスのルートを考えることができるという面も示す」と、意義を強調している。

とはいえ、与えられた本人すら意味を理解していな認定証が本当に必要なのか。議論はまだまだ続きそうだ。

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