猫はオスとメスで利き手が違う? 心理学者の研究でハッキリ分かれる。

2009/08/04 13:51 Written by ナリナリ編集部

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箸を持つ、ボールを投げる、字を書くといったシーンで、上手にこなせるのがその人の利き手。人間の場合9割が右手と言われ、しかも左利きは男性の方が圧倒的に多いという。利き手のメカニズムは、脳機能やホルモンの影響など、様々な説が唱えられているが、詳しい理由はまだわかっていない。そうした中、英国人心理学者が42匹の猫を使った研究を行い、オス猫は左、メス猫は右が利き手(足)とハッキリ分かれたという結果を発表。メディアは“ホルモン説”との関連に言及し、「(利き手は)人間以外の動物でも見られる」と注目している。

この研究を行ったのは、英国立クイーンズ大学ベルファストの心理学者デボラ・ウェルズ博士と助手のサラ・ミルソップ氏で、その結果は専門誌「Animal Behaviour」で発表された。まず、ウェルズ博士らは21匹ずつのオス猫とメス猫、計42匹に3つのテストを実施。その内容は、「小瓶に入れたマグロを取り出す」「猫の頭上におもちゃのねずみを吊るす」「猫の前でおもちゃのねずみをひもで引っ張る」というもので、各猫が左右どちらの手を使うのかを調べた。3つのテストは、1匹の猫につき100回繰り返し行われ、慎重に分析を重ねたという。

するとねずみのテストでは、左右の手どちらも使う猫が多かったのに対し、小瓶からマグロを取り出すテストでは、オスとメスでハッキリ利き手が分かれる結果となった。オスの場合、21匹中20匹がマグロを取り出すのに左手を使用。一方のメスは、21匹中20匹が右手を使用していた。

なお、マグロのテストでのみ利き手の傾向が現れていることについて、英科学誌ニュー・サイエンティストは「人間も大ざっぱな作業(ドアを開けるなど)はどちらの手も使うことができるが、精度を必要とする作業(書くことなど)は利き手を用いる」と分析。猫の世界にもこれが当てはまると見ている。

ウェルズ博士は「我々の研究は、猫の世界では性差の強い影響により、それぞれの利き手の集団が生まれることを示唆している」(英紙デイリー・メールより)と、新たな発見に可能性を感じているものの、性差による違いの原因など、具体的なメカニズムについては現段階では把握していない。その上で「オスとメスでは、ハンティングや親の世話など、行動パターンが異なる」として、そうした違いが利き手に影響を及ぼす一因になり得る可能性を指摘している。

また、デイリー・メール紙は、人間の胎児が母親の子宮の中で分泌を受ける男性ホルモン「テストステロン」が利き手を決めるという説を紹介。胎児が子宮内でこのホルモンの影響を強く受けると、左利きになるとの見方だ。この見方は、ロサンゼルス・タイムズ紙でも取り上げられており、犬でも同様にオスは左、メスは右を利き手にする傾向があるとした別の研究も紹介している。

一方で、英国で猫の保護団体を営むベス・スキリング氏は「日々の行動の中で、オスとメスの利き手に大きな違いがあるとは思えない」(デイリー・メール紙より)と、研究結果に懐疑的だ。スキリング氏はまた、「特定の行動の中で最初に使った足の影響により、獲物の捕食時に使われる利き手は異なるかもしれない」との見解を示し、「猫はオスもメスも単独で行動し、生き残る技術を身につけて進化する。その必要性に応じて両前足は機敏に動く」と説明している。

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