30歳以下の使用はリスク増大? 日焼けマシンの発がん性に警鐘鳴らす。

2009/07/30 13:13 Written by Narinari.com編集部

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90年代の“ガングロブーム”をきっかけに、日本でも急速な広がりを見せた日焼けサロン。季節に関係なく短時間で肌が焼けるとあって、流行に敏感な若者を中心に支持を集めたが、その一方で、焼きすぎによる肌のやけどや、日焼けマシンから照射される紫外線の肌への影響を懸念する声も少なくない。そうした中、世界保健機関(WHO)の研究部門である国際ガン研究機関(IARC)が「日焼けマシンの利用は、タバコやアスベストと同程度の大きな発がんリスクがある」と発表。欧米でも日焼けマシンは人気があることから、各国のメディアがこの発表に注目している。

今回の発表は、今年6月にIARCの会合に集まった9か国20人の研究者が、人間や動物実験で得た20以上の研究結果を検証して導き出した結論。WHOは2005年にも日焼けマシンによる皮膚がんの危険性に警鐘を鳴らしているが、今回の発表は研究をさらに推し進めたものだ。その内容は7月29日に発行された英医学誌「The Lancet Oncology」で明かされている。

日焼けマシンで問題視されているのは、放射される紫外線。日焼けマシンから出る紫外線には「UV-A(長波長紫外線)」と「UV-B(中波長紫外線)」の2種類があり、過去の研究では「UV-B」の発がんリスクを危険視する向きが強かった。しかし6月の会合では、日焼けマシンから出る紫外線の量は自然界に比べてはるかに強いため、こうした波長の違いに関係なく発がんリスクが高まると指摘。特に若年層に対する影響が懸念され、30歳以前で日焼けマシンを利用した場合、がん発症リスクが75%上がるとの結論を導き出している。

この発表を受け、英紙デイリー・メールは、英国内における悪性黒色腫(皮膚がんの一種)の発症人数を20年前と比較。1985年から87年にかけての患者数が9,417人だったのに対し、2004年から06年にかけては24,356人と約2.5倍に急増し、その間に日焼けマシンの利用者数も2倍に増えていると説明している。この状況は現在3,000万人が日焼けマシンを利用するという米国内でも同様。米放送局のCBSは「15歳から39歳までの白人の場合、1980年に比べ2004年の患者数は50%近く増えた(米国立がん研究所の調べ)」と伝えている。

そのため、米国がん協会は「若者は日焼けマシンを使うよりも、(肌を焼いたように見せる)ブロンジングクリームを利用するように」(米紙ロサンゼルス・タイムズより)と呼び掛けているほか、デイリー・メールによると、英国でもがん研究者が「日焼けマシンの利用は、法律によって管理されるべき」と主張。また、英国がん研究所のジェシカ・ハリス氏は、「IARCの判断が喜ばしい」とした上で、「政府には、18歳以下の日焼けマシン利用を禁止するよう動いて欲しい」と訴えている。

こうした報道に対し、英国の日焼けマシン協会の最高責任者を務めるキャシイ・バンクス氏は「日焼けマシンを正しく使用した場合と、皮膚がんが関連するような証明がされていない」と反論。同様に日焼けマシンとがんの関連性に疑問符を付けるメディアは少なくない。今回の発表はさまざまな分析から導き出された“可能性”の問題であるため、今後は紫外線のより直接的な影響を、さらに解明していく必要がありそうだ。

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