ありふれた名字と名前の組み合わせでなければ、実社会で自分と同姓同名の人物に出会う機会は少ないが、ネットを検索すると意外と出てくるもの。特に近年は実名で登録するソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などの存在もあり、そんな人同士が交流を持つこともできる環境になってきた。こうした中、米国でSNSを通じて知り合った同姓同名の男女が互いに一目惚れして恋に落ち、今年10月に結婚することになったという。
米フロリダ州に住む20歳の女子大生ケリー・ヒルデブランドさんは昨年2月、退屈しのぎに米SNSのFacebookで自分と同姓同名の人物を検索した。すると、米テキサス州の金融関係会社に勤める男性ケリー・ヒルデブランドさんを発見する。その瞬間、女性のヒルデブランドさんはFacebookに公開されていた男性のヒルデブランドさんの写真を見て一目惚れ。同姓同名であることに加え、美男子を見つけて喜んだ彼女は、すぐに男性のヒルデブランドさんにメッセージを送ったそうだ。
一方、男性のヒルデブランドさんがメッセージに気付いたのは、届いた2日後のことだった。すかさず送り主のページをチェックした男性のヒルデブランドさんは、女性のヒルデブランドさんの写真を見て好印象を抱き、メールやチャットを通じた交流が始まる。英紙デイリー・メールによると、3か月間こうしたやり取りで交流を深めた2人は、やがて毎日の電話もするようになったという。
2人の仲は深まっていったものの、ネットや電話だけで盛り上がる関係に不安を抱いた男性のヒルデブランドさんは、彼女の気持ちを試す行動に出た。ある日「君がスキューバダイビングのライセンスを取ったら、フロリダに会いに行くよ」と約束したのだ。女性のヒルデブランドさんの気持ちが真剣かを確かめたかったそうだが、その一方で取得しないだろうとも予想していた。ところが、彼に惹かれていた女性のヒルデブランドさんは約束を果たそうと努力し、見事にライセンスを取得。2人はついに対面することになった。
フロリダの空港で初めて会った2人は、顔を合わせるなりすぐに抱き合ったという。女性のヒルデブランドさんは「彼をずっと昔から知ってる人のように感じた」と振り返っている。その場には彼女の母親も同席していたが、娘と同姓同名の男性に好感を抱いた模様。それからテキサスとフロリダの間で2人の行き来が始まり、女性のヒルデブランドさんも男性側の家族から気に入られたという。
順調に愛を育んだ2人は昨年12月、彼女の家の近所にある浜辺を散歩していた。その際、男性のヒルデブランドさんは砂浜の中に指輪を入れた宝箱を埋め、彼女が金属探知機でそれを探し当てたのを確認し、プロポーズ。今年10月に結婚する運びになった。男性のヒルデブランドさんは彼女と知り合ってすぐに転勤願いを会社に申し出ていたそうで、つい2週間前にフロリダへの転属が決定し、新たな生活を始めている。
運命的な出会いから結婚にまでこぎつけた2人だが、送られてきた郵便物がどちらに届いたのか分からなかったり、旅行をしようと申し込んだ際には代理店がミス登録と勘違いして1人分の予約しか入らなかったりなど、同姓同名ゆえの苦労もある様子。近所の人も、2人を呼び分けるため、男性のほうを「ケリー」か「ケリーボーイ」、女性のほうを「ケリーガール」と呼んでいるという。さらにややこしい状況になるのを防ぐためか、2人の間に子供ができても「ケリー」とは名付けないようだ。