2歳の双子を遺し「世界最高齢の母」が死去、超高齢出産巡る議論が再燃。

2009/07/17 09:42 Written by Narinari.com編集部

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今年5月、66歳の女性がウクライナで体外受精を行って男の子を出産し、英国最高齢の母となった件が英国内で論争を引き起こしている。不妊に悩み、出産を諦めていた女性が治療技術の進歩によって願いを叶えられるようになったことに理解を示す声もあるものの、大方は“超高齢”での妊娠・出産は「自然に反する」「子どもの将来を考えろ」と批判的な意見で占められていた。つい先日は72歳の英国人女性が体外受精を試みているとの報道もあり、この問題は依然論争が続いている状態だ。

そうした中、「世界最高齢の母」(=最高齢で出産した女性)として知られるスペインの女性が、2歳の双子の子どもを遺し、7月11日に69歳で亡くなっていたことが明らかになった。

この女性は、2006年に66歳で双子の男の子を出産したマリア・デル・カルメン・ボウサダさん。ボウサダさんは米ロサンゼルスの病院で、自分の年齢を55歳と偽り体外受精を実施。2006年12月29日にスペイン・バルセロナの病院で双子の男の子を出産した。出産時のボウサダさんの年齢は66歳358日で、それまでの記録保持者だったルーマニアのアドリアーナ・イリエスクさんの出産年齢を130日更新。新たな「世界最高齢の母」となっていた。ちなみに、昨年70歳で双子を出産したインドの女性が「世界最高齢の母」と報じられたこともあるが、「70歳と主張しているが、出生証明書がない」(英紙インディペンデントより)として、公式には認めていないメディアも多い。

ボウサダさんの出産は各国メディアでも報道され、インディペンデント紙は「スペイン国内では非難の声が起こり、世界中で高齢女性への不妊治療を巡る倫理問題が議論された」と当時の衝撃の大きさを伝えている。そんな周囲の声に、公にコメントを出さなかったボウサダさんだったが、英紙ニュース・オブ・ザ・ワールドのインタビュー取材を受けたことがあった。

2008年5月に行われたインタビューの中で、ボウサダさんは2005年に母親が亡くなったことが、子どもが欲しくなったきっかけと明かしている。母親は101歳まで生きたのを引き合いに出し、自分もまだ長生きできると確信しているようだった。「そこまで生きたら、孫の顔も見れるかも」とも。

しかし、出産から1年近くが経った2007年12月、ボウサダさんは「非常に重い病気(ガン)を患った」とスペインのテレビ番組に告白。そして、もし自身が他界した場合の子どもたちの世話については「甥もいるし、子どもたちにとても良い後見人もいる」と話していた。また、「子どもたちは一人ぼっちにはならない」と、周囲からの不安を打ち消すようなコメントも残している。

それから闘病生活に入ったボウサダさんだったが、ボウサダさんの兄弟がスペイン地元紙ディアリオ・デ・カディスに明かしたところによると、残念ながら7月11日に亡くなったという。遺された双子は、ボウサダさんの兄弟を含め身内で育てていくそうだ。

デイリー・メール紙のコメント欄には、「私も48歳で子供がいないが、より高い年齢の人が子どもを作るのは反対」「体外受精は若い年齢の夫婦に限るべき」と、やはり批判的の意見が多い。一方で、「男性はいくつでも父親になれるのに、女性は年をとったら母親になってはいけないとは言えない」と、母親の気持ちに理解を示す意見も見られる。72歳の英国人女性が体外受精を試みている報道が多くの反響を呼んでいる中、大きな懸念の1つとされた母親の寿命の問題が実際に起きたことで、再び高齢女性の体外受精を巡る論議が過熱しそうだ。

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