娘といとこが同じ難病を発症、莫大な治療費捻出で苦悩する英国人一家。

2009/07/14 15:40 Written by Narinari.com編集部

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神経芽細胞腫という病気をご存知だろうか。小児がんの一種で、小児がんの中では白血病に次いで発生頻度が高いと言われる病気だ。日本では年間200人程度、英国では年間100人程度の発症報告があるとされているが、腫瘍の発生時期や進行具合によって影響に大きな違いがあり、自然に消滅する場合もあれば、重態となる場合もあるという。

英国のある3歳の少女は残念ながら重態の状態で、英国内での治療は不可能と診断され、両親は医療先進国の米国での治療を受けるべく約20万ポンド(約2,970万円)の資金集めを始めた。するとその矢先、今度はいとこの男の子も同じ病気で重態と診断され、莫大な資金集めに苦悩する一家の様子を英紙デイリー・メールが伝えている。

現在3歳の女の子、チェルシー・ナイトンちゃんに異変が起きたのは、2歳の誕生日を迎えた直後の2007年11月のことだった。チェルシーちゃんのホームページ「cherish chelsea appeal」によると、足の痛みを訴えたチェルシーちゃんを見た両親は当初、成長期ゆえの痛みだと軽く考えていたという。しかし、チェルシーちゃんが頻繁に転ぶようになったため医者に診せたところ、尿感染症との診断を受けたそうだ。

ところがその後、熱が続くようになり黄疸も発症したため、地元の病院で検査すると胃に腫瘍を発見し、さらに王立レスター病院で検査を受けたところ、同年12月に神経芽細胞腫と判明。しかも、発見時はすでに神経芽細胞腫の悪性度を示す4段階で1番重い「ステージ4」の状態だった。

神経芽細胞腫は腫瘍が発生源のみで見られる「ステージ1」から、リンパ節転移などを伴う「ステージ2」「ステージ3」と段階が分けられ、「ステージ4」になると骨や体のほかの器官にも転移する。このとき腫瘍は4.7インチ(約12cm)の大きさで、手術するには体の負担が大きすぎるとされ、化学療法で小さくする方法が取られた。当初「パニックで現実を受け入れられなかった」(デイリー・メールより)という両親は、付きっきりでチェルシーちゃんを看護。その結果、順調な経過が見られたことから、2008年5月に1回目の手術を受けることができた。しかし完全に体内から腫瘍は取り除けず、引き続き強い化学療法は続行。病状は良化の兆しを見せ、7月には一時帰宅を果たしている。

両親は自宅に空気や水のろ過装置を購入し、有機野菜を食べさせるなど、できる限り良い環境を整えようと苦闘していたが、2か月もしないうちに4つの腫瘍が新たに見つかってしまう。そのため両親が治療法を模索すると、英国よりも米国とメキシコの治療が進んでいることがわかった。この病気の英国での生存率が20%だったのに対し、米国やメキシコでは生存率が60%にものぼる。両親は米国での治療を目指すことに決め、20万ポンドと言われる資金を集めるために、チェルシーちゃんのホームページを開設し、基金を募り始めた。

そんな矢先、両親にはさらにショッキングなニュースがもたらされる。チェルシーちゃんのいとこで5歳のザカリーちゃんも、今年2月に神経芽細胞腫に侵されたのだ。ザカリーちゃんもやはり「ステージ4」と診断され、縦約12センチ、横約8センチの腫瘍が見つかり、化学療法を受けることに。デイリー・メール紙は、この病気は遺伝によるものではないとした上で、ファミリーで2人も神経芽細胞腫に侵される確率を「1000万分の1」と伝えている。

それまでザカリーちゃんの母サムさんも、チェルシーちゃんとザカリーちゃんの祖母にあたるジューンさんらと共に、資金集めのバザーやパーティに協力し、これまで2万3,000ポンド(約340万円)を集めていた。それだけに、自分の息子も同じ病気にかかり、同じだけの資金が必要となったことに、サムさんは苦悩。「2人の子供を治療させるだけのお金を集めるのに必死」と語るサムさんは、「もし今20万ポンドがあったら、先にチェルシーに活かされなければならない」(デイリー・メール紙より)と、以前から闘病を続けるチェルシーちゃんを気遣っている。

というのも、チェルシーちゃんは3週間前、新たに脳に腫瘍が見つかり、英国内での治療は困難とわかったのだ。ザカリーちゃんよりも時間の猶予がより少ないとされるチェルシーちゃんを米国に渡らせるため、いま、一家は資金集めに奔走している。

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