子供の言語発達に最も有効なのは「会話」、効果は「読み聞かせ」の6倍。

2009/07/02 14:05 Written by Narinari.com編集部

このエントリーをはてなブックマークに追加


小学校受験も盛んな昨今、胎教や幼児期の英語学習といった、幼いうちからの教育も注目を集めている。子供が少しでも早く言葉を覚えるようにと、絵本を読み聞かせる親も多いのではないだろうか。ところが、本を読み聞かせるだけでは効果が薄いという研究結果が米研究グループによって発表された。同研究によると、本の読み聞かせよりも、大人との会話をすることのほうが圧倒的に言語発達への効果が高いという。


この研究は、米カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)公衆衛生学のフレデリック・ジマーマン准教授らが、米医学誌ペディアトリックスの7月号に発表したもの。同准教授らは、米国勢調査のデータから抽出した2か月〜4歳の子供を持つ275家族(白人82%、黒人3%、ヒスパニック8%、その他7%)を対象に、6か月間のうちランダムに選んだ5日間について子供の生活内容を丸一日記録。71家族については18か月間まで調査を継続し、子供の言語能力を確かめるテストを行った。

その結果、大人から1日1,000語を聞くことと、1日100回の大人との会話を行うことが言語発達に有意に関係し、テレビ視聴は言語発達に関連していないことが明らかになった。特に大人との会話が子供の言語発達により強く関連しており、同准教授らは、親子の会話を頻繁に行っている子供は文法や語彙の間違いが少なく、大人の会話を聞いているだけの子供は言語能力が上達しているものの、その効果は薄いとされている。

この結果を受け、同准教授らは「大人の言葉を聞かせるのは子供の言語発達の助けになるが、もっと重要なのはお互い通じ合うこと」と結論。一方的に子供へ言葉を流し込むのではなく、会話を通じて子供の考えを理解して言葉や認識の間違いを是正していくことが、子供の言語発達に最も良いと述べている。また、子供があまり言葉を習得していなくても大人が話しかけることも重要で、子供が自分の気持ちを伝えるために会話をしようとすることが、のちの言語発達に影響するという。

結局、子供の言語能力を発達させるのは与える知識の量ではなく、子供と多くのコミュニケーションを取る“愛情の量”が重要なようだ。

TOPへ戻る
このエントリーをはてなブックマークに追加

Copyright © Narinari.com. All rights reserved.