強盗から命がけで受験票を死守した女性教師、生徒40人の未来を守る。

2009/06/12 12:33 Written by Narinari.com編集部

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毎年6月7日から中国全土で催される大学統一入試「高考」。今年は不況の影響もあり、10年ぶりに受験者数が減少したものの、約1,020万人が受験したとされている。現在の中国はかつてのように大学生であることがステータスとなるような時代ではない。しかしながら、「高考」は、貧しい農村部出身の若者たちにとっていまだに成功への「確かなる道」であり、家族全員の将来を決すると言っても過言ではない一大イベントだ。

そうした中、毎年「高考」の時期が近づくと、新聞やテレビでは「高考」にまつわるニュースが連日のように報道される。今回紹介する事件は、大学入試に闘志を燃やす学生たちを、自らの命を懸けて「守った」女性教師2人の話だ。福建省福州の『海峡都市報』が伝えている。

事件が起きたのは、6月7日昼のこと。福建省の南安水頭鎮区にある住宅団地の入り口で、高校の女性教師2人がスクーターで移動していたところ、後ろからやって来たバイクの男に突然ショルダーバッグを盗まれそうになる。女性教師2人は必死に抵抗。2人はスクーターから転げ落ち、地面を数メートル引き摺られながらも、決してショルダーバッグからは手を離さなかったという。結局、女性教師たちの粘りに観念したのか、バイク強盗はその場を立ち去ることに。女性教師2人は全身を強く打ち、頭から流血するほどの怪我を負ってしまった。

事件を目撃した人の話によると、女性教師2人は立ち上がった後、ショルダーバックのほこりを叩き落としながら「大丈夫、大丈夫」と健気に話したそう。2人は近くの高校で高校3年生の担任をしており、その日は国語の試験を終えたばかりで、40人分の受験票をショルダーバッグに入れて持って帰る途中だった。一部の受験生は試験会場と遠く離れた場所で暮らしているため、受験生が受験票をなくさないようにまとめて管理していたそうだ。

女性教師2人は、さすがにバイク強盗に遭遇することは予期していなかったそうだが「もしこの受験票が奪われてしまったとしたら、40人の学生の未来も奪われてしまうことになる」と語る。命懸けで40人の学生の未来を守った女性教師。果たしてその熱い思いに学生たちが応えられるかどうか。「高考」の試験結果は6月下旬に発表される予定だ。

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