英国では女子学生が男子学生を質量とも上回る、20年前の教育改革が原因か。

2009/06/09 16:53 Written by Narinari.com編集部

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日本では少子化の影響により定員割れする大学も増えつつあり、進学を希望する人たち全員が大学に入れる“全入時代”も、近い将来訪れると言われて久しい。そうした時代において、かつては男女差のあった大学進学率も改善され、2007年の日本の大学進学率は男性55.0%、女性52.5%と、1975年の43.6%、32.9%(数字はいずれも文部科学省の学校基本調査より)に比べると女性進学者が一般化していることが、数字の上でもハッキリと分かる。一方で英国では日本よりも状況が進み、女性が男性の進学率を上回ったという報告を英高等教育政策研究所(HEPI)が発表。英メディアは「男性を凌駕した」との記事を掲載するなど、ひとつの転機として捉えているようだ。

英紙デイリー・メールによると、英国の30歳までの男女における大学進学率は、男性37.8%に対して、女性は49.2%とほぼ半数に達していると報告されたという。さらに英紙インディペンデントでは、オックスフォードとケンブリッジの2つの大学だけは差が見られないものの、いずれも女子学生の数は急増しており、両大学とも「女子が追い抜くのは時間の問題」と伝えている。

この原因について、英メディアは1998年に導入されたGCSE(中等教育修了資格試験)の影響によるものではないかと指摘。義務教育が6歳から16歳までの英国は、16歳の時に全国統一試験のGCSEによって学習成熟度を検証する制度を採用している。およそ30の科目から10科目程度を選択して受験、さらにテストの点数の他に、過去2年間のレポート提出なども加味された上、AからGの7段階で評価され、その結果はその後の進学や就職に影響するという。

実際にGSCEが原因とするデータは示されていないものの、デイリー・メール紙は、GCSEは答えだけでなく過程を重視した「記述式問題」が多く見られることや、学校での成績が加味される点が「男性より女性の学習スタイルに合っているようだ」と分析。その上で「女性の進学率アップは、GCSEの導入以外にうまく説明できる材料がない」としている。

さらに女子学生は大学内の成績も男子学生より良い傾向とされ、また、英紙サンでは、男性の1.4%は落第や退学に追い込まれていることを紹介。こうした傾向を英紙インディペンデントは「政府が目指した50%の進学率にほぼ達し、この結果は女性にとってサクセスストーリーだ」と伝えている。また、賃金や地位の格差も今後解消されていくだろうとし、英紙デイリー・テレグラフでは「今や男性が飼い犬だ」とする刺激的なタイトルのコラムも掲載するなど、英メディアは衝撃的に受け止めているようだ。

女性が力を発揮できる時代になったのか、それとも男性に不利になる要因が何かあるのか。いずれにせよ英国男性たちの奮起に期待したいところだ。

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