芸術界に「MR.BRAIN」現る、脳手術後に絵画の才能が突然開花した男。

2009/06/04 13:18 Written by Narinari.com編集部

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人間の脳には、今なお未解明な部分が残されている。現在放送中のTBS系ドラマ「MR.BRAIN」では、木村拓哉演じる主人公のホストが崩れてきた壁の下敷きになって脳の一部を損傷。手術後に勉強を始め、脳科学者へと転身を遂げていくところから物語が始まったが、実際に脳にダメージを受けた後、全く別の分野での才能が開花したという男性の話が英国で注目を浴びている。

この男性は、英ウスターシャー在住のアラン・ブラウンさん。ガラス窓のセールスマンをしていたブラウンさんは6年前、ひどい頭痛に襲われて自宅で倒れてしまう。病院での検査の結果、脳卒中と診断されてすぐに手術を受けた。病状は深刻だったようで、手術には15人の医師が立ち会ったほか、手術中に2度命を失いかけたという。16時間に及ぶ手術は成功して一命は取り留め、集中治療室で2か月間の療養を経てようやく危機を脱したそうだ。

術後は順調に回復していたものの、入院生活に飽きていたブラウンさんに、1人の女性看護師が退屈しのぎに絵を描くよう勧めたことが転機を与えた。ブラウンさんは、「看護師は紙と鉛筆、自身が飼っている犬の写真をくれたんだ。そして完璧に私がスケッチしたのを見て、『芸術家なの?』って聞いてきた」と英紙デイリー・メールに語っている。手術前まで絵画に全く興味がなかったブラウンさんだが、この出来事によって絵を描くことに夢中になったという。このときの感想を、英紙サンに「手術で私の脳にスイッチが入り、突然私がミケランジェロになったようだ」と述べている。

「脳卒中が、私の中に存在しなかった創造的な世界へと連れ出してくれた」(デイリー・メール紙より)とも話すブラウンさん。退院後にはサラリーマンを辞め、英ウスター大で芸術学を学び始めた。現在は卒業を控えている段階で、卒業後は地元でギャラリーを開く予定となっている。突然目覚めた才能に「自分のやりたい仕事を熟考したが、絵を描くことが天職のように思えた」と、やりがいを感じているようだ。

デイリー・メール紙によると、英国では脳手術を受けた30歳の男性が、術後に突然アイルランド訛りで話し始めて家族を驚かせた例があったという。また、先天的な脳機能障害とされる自閉症患者の中には、一度見た景色をスケッチで完璧に再現する人もいるようだ。

英ヘッドウェイ脳損傷者協会の広報担当者は「脳の損傷がさまざまな変化や影響を及ぼす可能性はあるが、その理由は完全には分かっていない」とコメント。まだまだ未知の部分が残されている人間の脳は、まさに神秘の世界だ。

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