ミラン新監督に元J1鹿島のレオナルド氏、青年監督が欧州を席巻するか。

2009/06/02 12:58 Written by Narinari.com編集部

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今季の欧州チャンピオンズリーグ(CL)はバルセロナ(スペイン)優勝で幕を閉じ、各国のリーグ戦も続々と今季の終了を迎えている。来季に向けた選手の移籍の話も活発になってきているが、今夏の注目はマンチェスター・ユナイテッドのクリスティアーノ・ロナウド選手とミランのカカ選手を狙うレアル・マドリード(スペイン)の動向。そしてもう1つが、チェルシー(イングランド)のフース・ヒディンク監督の後釜と目された、ミランのカルロ・アンチェロッティ監督の動向だった。

英メディアは、アンチェロッティ監督のチェルシー移籍は間違いなく、本人も熱望している旨を盛んに報じていたが、ミランとの契約が来季まで残っている点が障壁となっていた。こうした中で、6月1日にミランが公式サイトでアンチェロッティ監督の辞任を正式に発表。それに呼応するかのように、チェルシーの監督就任の報道も伝わってきた。

アンチェロッティ監督は、パルマやユベントス(ともにイタリア)の指揮官として実績を積み、2001年からミランの監督に就任。8年にも及ぶ長期政権でチームの基盤強化に努め、リーグ優勝は1回ながら欧州CLを2度制覇するなど、計8つのタイトルをもたらした。

しかし、近年は獲得選手を巡ってクラブ幹部と対立することもしばしばで、若手が伸び悩む一方でレギュラー選手の高齢化を招いている事態に懸念を抱いていたという。この状態で成績も芳しくなく、昨季はリーグ5位に終わって欧州CLの出場権を逃し、今季のUEFA杯でもブレーメン(ドイツ)に敗れて決勝トーナメント1回戦で敗退した。

5月31日に行われた今季のリーグ最終戦、フィオレンティーナとの試合に勝って3位でフィニッシュし、来季の欧州CLの出場権獲得したが、アドリアーノ・ガリアーニ副会長がアンチェロッティ監督の辞任を発表した。同副会長は、長年主将を務め、今季限りで引退するパオロ・マルディーニ選手についても触れ、クラブを象徴する2人が去ることに深い感慨を抱いている模様。これと同時に発表されたのが、Jリーグ鹿島でも活躍したレオナルド氏の監督就任だ。ミランは、クラブが大きな転換期を迎えたと宣言している。

レオナルド氏はジーコ氏(現ロシア・CSKAモスクワ監督)の誘いを受け、Jリーグ発足2年目に鹿島へ入団。甘いマスクと華麗なテクニックでファンを魅了し、1996年にフランスのパリ・サンジェルマンへ移籍する際は、鹿島だけでなく他クラブのサポーターからも別れを惜しまれた。その後はミランで現役生活を終え、同クラブの副会長補佐として幹部入り。カカ選手やアレッシャンドレ・パト選手ら、ブラジルの若手選手獲得に大きな力を発揮した。

選手および幹部として長年ミランに尽くしてきたレオナルド氏だが、チームを率いるのは初のこと。いきなり名門クラブの指揮を執るだけでも重圧を伴うが、クラブ自体が抱える問題も少なくない。

まずは、計算できるFW選手の少なさ。終盤に活躍を見せたフィリッポ・インザーギ選手は35歳で、確実な成績が期待できるのはパト選手のみとなっている。守備面ではブラジル代表の新鋭、チアゴ・シルバ選手を獲得したもののケガ人が続出しており、年齢層が比較的高いことからも、1年を戦い抜くための選手層をそろえる必要性が指摘されている。アンチェロッティ監督ですら苦心したこの問題を、どう対処して来季を迎えるのか、レオナルド新監督の技量が問われるところだ。

また、39歳の若さも不安要素の1つとして挙げられている。とはいえ、今季の欧州CLを制したバルセロナのジョゼップ・グァルディオラ監督は1つ下の38歳。同監督はバルセロナの下部組織を率いた経験はあるものの、トップチームの指揮を執るのは初。それでも欧州CLのほか、国内リーグ、国内カップとスペイン史上初の3冠を獲得している。残念ながら現在のバルセロナとミランの選手ではレベルに開きがあるが、同じ青年監督として、来季の欧州サッカー界で旋風を巻き起こすことに期待したい。

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