閉鎖予定の刑務所で40億円の収入? オランダがベルギーの囚人受け入れへ。

2009/05/26 11:46 Written by Narinari.com編集部

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近年の収容者増加に伴い、日本の刑務所はパンク寸前。警察庁の2007年版犯罪白書を見てみると、全国刑務所の収容定員7万9375人に対し、実際の収容人員は8万1255人と定員オーバーしている。この状態は2000年頃から続いており、過去最低だった1992年の収容人員4万5082人に比べ約2倍に膨れ上がった。そんな日本を尻目に、オランダでは収容人数の低下から8か所の刑務所を閉鎖することが発表されたが、これを40億円の収入につなげる方法も検討中だ。

オランダ紙NRCによると、オランダは1990年代に刑務所不足の問題に直面して施設を増加したが、近年になって国内の犯罪数が低下し、現在は定員約1万4000人に対して実際の収容人員は約1万2000人。同国法務省はしばらくその傾向が続くことを予測し、閉鎖の決断に至ったという。

国連地域間犯罪司法研究所(UNICRI)と国連薬物犯罪事務所(UNODC)の調査で、オランダの犯罪被害者数対人口比(世帯当たりの被犯罪率)は1990年の約27%から、2000年に約20%、2005年には19.7%に減少した。つまり、1990年は約4世帯に1世帯の割合で何らかの犯罪に遭っていたが、2005年には約5世帯に1世帯へと減ったことになる。ちなみに、日本は1990年が8.5%、2000年が11.9%、2005年が9.9%。オランダの犯罪率は、決して低いわけではないようだ。

とはいえ、被犯罪率の減少に伴って犯罪者数も順調に減っており、経費のかかる刑務所の縮小は国にとって歓迎すべきこと。かねてから行き過ぎた好待遇で「ホテル並み」と批判を浴びていたオランダの刑務所だけに、市民の感情も少しは穏やかになるかもしれない。

ただ、ここで問題となるのが、刑務所で働く人々の処遇だ。オランダ政府は刑務所職員1200人の解雇を発表したが、オランダ国会では解雇の是非をめぐり異論が噴出。地元ラジオ局RADIO NETHERLANDSによると、法務副大臣が解雇する職員へ「どんな保障も提供できない」と発言したことから、刑務所職員の労働組合が閉鎖の問題に関して協議を開始したという。

こうした数々の問題を解決できるかもしれない案として、隣国であるベルギーに刑務所を貸し出す案が浮上している。ベルギーは日本と同様、刑務所不足に悩まされており、他国の刑務所活用は願ってもないチャンス。またオランダにとっても、いくつかの刑務所の閉鎖を2012年まで延期できるほか、ベルギーから3000万ユーロ(約40億円)の収入が見込めるのだとか。両国間ではすでに協定を結ぶ方向で話し合いが行われており、2010年までにベルギーの囚人約500人がオランダの刑務所へ移送される予定だ。

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