コーラの飲み過ぎで不整脈や呼吸筋麻痺に、ギリシャの医師らが警鐘。

2009/05/21 12:19 Written by Narinari.com編集部

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19世紀後半に米国で誕生して以来、世界中で愛飲されているコーラ。独特な風味と炭酸の爽快感が多くの人を虜にしているが、糖分が多いことから、肥満や虫歯、さらには骨密度への影響など、健康を害することがたびたび問題視されている。こうした中で、ギリシャの医師らがコーラを毎日大量摂取した人に起きた健康障害の事例を、英医学誌インターナショナル・ジャーナル・オブ・クリニカル・プラクティス最新号に発表した。

ギリシャ・ヨアニナ大医学部のモーゼス・イリサフ博士らは、オーストラリアの男性に起きた事例を紹介。この男性はダチョウを飼育する44歳で、カンガルー狩りを楽しんだ夜に、突然筋力が低下して立つことも困難になり、自発呼吸もできなくなったという。病院での検査の結果、血液中のカリウム濃度が極端に低下する低カリウム血症に陥っていることが分かった。話を聞いてみると、男性は3年にわたってコーラを1日4リットル、さらにカンガルー狩りのときは1日10リットルも飲んでいたそうだ。医師がコーラの量を減らすようアドバイスした結果、血中カリウム濃度が正常に戻り、筋力の低下も回復した。

別の事例では、21歳の妊婦が疲労感や食欲不振、持続的な嘔吐を訴えて入院。検査をすると、不整脈のほかに血中カリウム濃度が低いことが判明した。この妊婦も1日3リットルのコーラを飲み、入院前の10か月に限れば最高で1日7リットル飲んでいたという。コーラを控えてカリウムのサプリメントを摂取した結果、病状は完全に回復した。

低カリウム血症は心臓を含む筋肉や腎臓などに障害を及ぼし、重度になると両手両足や呼吸筋の麻痺などを引き起こす。イリサフ博士らは論文で、個人差があるとしながらも「コーラなどに含まれるブドウ糖や果糖、カフェインを大量に摂取すると、低カリウム血症を引き起こすことを示唆した」との見解を示している。

また同博士は、2007年度における世界の清涼飲料水消費量は1人当たり年間83リットルで、2012年には同95リットルに増加すると推計。特に米国は、すでに1人当たり年間消費量が212リットルに達しているという。

コーラを含む清涼飲料水消費量の増加予想に、イリサフ博士らの論文を解説した米クリーブランド退役軍人医療センターのクリフォード・パッカー准教授は、飲料メーカーに対して警鐘を鳴らす。ガーディアン紙によると「飲料メーカーは、全年齢層に安全で適度な消費を促す必要があり、容量を小さくするなど健康的に飲めるよう、増加する需要に注意を払うべき」とコメントした。これに対し、英清涼飲料水協会は「すべて極端な事例で、食事や生活の中で適度に飲む分には、コーラは全く安全な飲み物だ」と反論している。

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