13歳の少年がガン治療拒絶、裁判所の判断次第では「強制的治療」へ。

2009/05/20 18:29 Written by Narinari.com編集部

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ホジキンリンパ腫。悪性リンパ腫の一種で、首の付け根、脇の下、そして足の付け根などにあるリンパ節がガン細胞に侵される病気です。ガン腫の肥大、体重の減少、発熱などの症状が出ますが、放射線治療や抗ガン剤を用いた科学治療により、現代医学下において治癒する確率がどんどん高くなっている疾患でもあります。

ミネアポリスに住む13歳の少年も、このホジキンリンパ腫と診断されたひとり。抗ガン剤投与が最善だという医師の判断で、数回に渡る治療スケジュールが組まれました。

しかし最初の投与が終わった時点で、少年と両親が、以降の治療を拒否してしまったのです。確かに米国には「Patients’ Bill of Rights(患者の権利宣言)」という観念があり、それには「良質な医療を受ける権利」「(医療サービス等の)選択自由の権利」といった内容のほか「自己決定の権利」も約束されています。患者さんがこの治療はイヤだといえば、医療機関は基本的にその意思を無視することは出来ないのです。少年のように未成年者が患者の場合は、法定代理人(この場合は両親)が代わりに医療における決定を下します。

しかしながら、もし少年がこのまま抗ガン治療を拒否し続ければ、ガンが進行して命にかかわってしまう可能性大です。先の権利宣言の中には、

「患者の意思に反する医療処置や治療は、法律が認めるか、または医の倫理の原則に値する場合は行われても良い」

とあります。よって病院側は、子どもへの治療を拒絶している両親の決定は「子供の養育を放棄したネグレクト」の可能性があるとして、裁判所の判断を仰いだのです(少年自身の意思は、未成年者のために法的効力はありません)。その結果、裁判所も「ガンの進行が手遅れでない場合」という条件付きながら、少年に対する治療を、強制的に行っても良いという判断を下しました。両親には今後、親権剥奪の決定が下りる可能性もあるそうです。

しかし、治療を拒否する人物に投薬をするとなると、それはそれで一苦労。少年は、

「もし強引に化学治療をするのなら、パンチで応戦する」

と言っているそうで、抵抗は必至のようです。少年の意思を尊重すべきだ、との意見ももちろんあるでしょう。しかし、病院側としてはまだまだ将来のある13歳の命を救いたい。今回のように強い態度に出たのも、「患者の尊重」と「医の倫理」という重大なふたつの狭間で悩んだ挙げ句の決定だったのではないでしょうか。

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