フェラーリぽい鉄道? 2011年開業予定イタリアの鉄道会社「NTV」とは。

2009/05/19 11:04 Written by Narinari.com編集部

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日本では1987年に国鉄が民営化されJRが業務を引き継いだが、イタリアの鉄道事情はちょっと複雑。1985年に国鉄が公社化され、1992年に株式会社、2001年に持ち株会社へと変貌を遂げたものの、株主は国だ。そのため、現在も日本では「イタリア国鉄」と呼ばれることが多い。そのイタリアで、新たな民間鉄道会社が参入することになった。新たな私鉄として参入するのは、ルカ・コルデーロ・ディ・モンテゼーモロ会長率いる「Nuovo Trasporto Viaggiatori(NTV)」。モンテゼーモロ会長は、イタリア最大の自動車メーカー、フィアットグループの会長も務め、傘下のフェラーリでも長年にわたりF1チームや経営面に携わってきた人物だ。

欧州連合(EU)では鉄道事業の民営化を推し進めており、各国の国鉄民営化や、国鉄が独占してきた鉄道事業に民間企業の参入を許す流れが進んでいる。この流れに沿い、2010年には国をまたぐ国際旅客鉄道の分野でも民間企業の参入を認めることが決まり、仏でも航空会社のエール・フランスが鉄道事業参入を検討している。イタリアではモンテゼーモロ会長や、シューズメーカー「トッズ」のディエゴ・デッラ・ヴァッレ氏ら実業家が共同出資し、2006年にNTVが設立された。

2011年初頭の開業を予定しているNTVは、北部のトリノからミラノ、ローマなど大都市を結び、南部の街サレルノまでイタリアを縦断する路線を時速360キロで運行する。英紙デイリー・テレグラフによると、ミラノからローマまでの所要時間が4時間から3時間に短縮されるという。

運行される車両は、フランス版新幹線「TGV」の最新型となる「AGV」を使用する。NTV公式サイトに掲載されている車両の外観は赤で統一されたシャープなボディーで、会長の存在もあって、まるでフェラーリの電車版。車体の製作はフランス企業によるものだが、車内デザインはフェラーリのデザインも務めたジョルジット・ジウジアーロ氏が担当した。車内は豪華な設備に大きな窓、広いスペースが確保されており、フェラーリのように高級感漂う雰囲気を味わえるのだとか。

運行はイタリア国内のみだが、モンテゼーモロ会長は将来的に国際旅客事業自由化を活用し、パリやベルギー・ブリュッセルへの運航も計画しているという。

同社最高責任者のジュゼッペ・スカローニ氏は「利用者には飛行機と鉄道の比較だけでなく、鉄道会社を比較する機会も与える」と開業に自信を示している。日本の私鉄のように自前で線路を敷設するのではなく、国鉄の線路を共同利用して運行するだけに、イタリア国鉄との利用客争奪戦は必至。スピードとスタイリッシュな車体で魅力をアピールする新規参入企業がどこまで勢力を伸ばせるか、開業が待ち遠しいところだ。

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