66歳女性が体外受精で待望の妊娠、「英最高齢の出産」が論議の的に。

2009/05/18 10:50 Written by Narinari.com編集部

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近年は晩婚化の影響もあり、一般的に高齢出産のリスクが始まるとされる30歳を超えた女性の出産も珍しくない。また、不妊治療として体外受精も普及し、長く子どもを授かれなかった人を助けている。そうした環境の変化や医学の進歩は、着実に妊娠・出産に対する考え方に変化をもたらしているが、世界では技術的に可能となった“超高齢”での出産例がたびたび報告されるようになり、物議を醸す機会もまた、増えているようだ。

例えば昨年12月にはインドで70歳の女性が妊娠、出産を果たしている。世界最高齢の妊娠となったこの女性も、それまで長年に渡って不妊に苦しんでいたとされ、念願の出産を喜ぶ様子は世界に伝えられた。そしてこのたび、英国の66歳の女性が対外受精により妊娠していることがわかり、英メディアや英国内の世論からは高齢出産の危険性を指摘する声が上がるなど、さまざまな議論を呼んでいる。

英紙サンによると、この女性は会社経営者のエリザベス・アデニーさん。アデニーさんは1度結婚の経験があるが、すぐに離婚して子供を産んでおらず、今回が初産だという。英国の複数メディアの報道に対してアデニーさんはコメントを拒否しているが、英紙デイリー・ミラーは「彼女は子供を欲しがっていた」「年齢の割に健康で、エリザベスはいい状態でいる」と語る友人のコメントを紹介している。

英国内では、50歳以上の女性に体外受精を行わない病院が大半とされ、アデニーさんは昨年ウクライナへ渡って体外受精を行ったそうだ。現在妊娠8か月のアデニーさんは出産を心待ちにしている様子で、60万ポンド(約8,650万円)と言われる邸宅に子供部屋やプールを作り、、乳母も雇うなど準備は万全。このまま身体に問題がなければ、帝王切開で出産を行う予定だ。

ところが、英メディアはこの高齢出産に疑問を投げかける専門家の意見も掲載している。デイリー・ミラー紙には英国国教会のスポークスマンが「子どもが欲しい気持ちは理解できるが、子どもにとって本当に良いことなのか」と語ったコメントを紹介。また、英国では2006年にも62歳の女性が体外受精で出産し、高齢女性の身体的負担の面について、英医療界では大きな論議を呼んだ経緯があり、再び直面した「高齢女性の妊娠」という現実に疑問を感じている医師もいるという。事実、サン紙は体外受精の専門家に取材を申し込んだところ、拒否されてしまったそうだ。

ちなみにデイリー・ミラー紙の電子版には、読者から130件を超えるコメントが寄せられている。その多くは女性に対する批判的な内容で、「女性の行動は自分勝手で、子どもがかわいそう」「更年期を過ぎた女性が妊娠するなんておかしい」という意見が並んだ。逆に「彼女は若く見えるし健康そうだから、良いじゃないか」「彼女は前向きな人生を選んだんだ」と、アデニーさんを擁護する書き込みも見られるものの、その数はごく少なく、コメントを寄せた人の多くは、女性の高齢出産よりも子どもの将来を心配している。アデニーさんの出産が無事行われることを願いたいが、この話題はもうしばらく英国内で論議を呼びそうだ。

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