出生率が世界平均の10倍? インドの「双子村」で地元医師が原因を分析中。

2009/05/13 05:42 Written by Narinari.com編集部

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不妊治療で使用される排卵誘発剤により多胎児が増加しているが、一卵性の双子に限ると、生まれる確率は1000回の出産に対して4回程度。250人に1組いるかいないかという計算だ。ところが、その10倍の確率で双子が生まれるインドの村を英紙デイリー・テレグラフが紹介している。研究者は不妊治療の一助とすべく、原因を探っているという。

双子が多く生まれるのは、インド半島南端に位置するケーララ州コディンヒ村。この村で双子が急激に生まれ始めたのは60〜70年前からとされ、これまでに住民登録された双子は250組。現在は2000世帯が暮らす中で220組の双子が住民登録されており、これは世界平均の6倍に当たるのだとか。

さらに、村で双子の研究を行っている地元医師のクリシュナン・スリビージュ博士は、実際には300〜350組の双子がいるはずと証言している。しかも、双子が生まれるペースは年々増加しており、ここ10年で双子の数は2倍近くになったという。昨年1年間だけでも300回の出産で15組の双子が誕生しており、同博士はその確率を1000分の45と試算。つまり、世界平均の10倍以上の確率で双子が誕生する計算だ。

スリビージュ博士は村の双子の研究を2年前から始めたが、貧しい地域で研究設備に乏しく、詳細な科学的分析が行えないため、はっきりした理由はまだつかめていない。ただ、村の双子はみな健康で、未知の汚染物質の影響はないとのこと。食事で摂取する何かに要因があるのではないかとみられている。同博士は、テレグラフ紙に対し「要因が分かれば、不妊に悩む夫婦の役立つかもしれない」とコメントし、さらに研究を進めるという。

ちなみに同紙では、今年1月にもブラジルで双子が多く誕生する街を紹介していた。こちらはブラジルのカンディド・ドゴイという街で、出産の5回に1回は双子が生まれ、しかも親と違う金髪に青い目を持つ赤ちゃんが多いという。この記事では、元ナチス・ドイツ将校で医師のヨーゼフ・メンゲレが、1960年代に南米へ逃亡していたことに着目。ナチスの「アーリア人化」計画を進めるべく、たどり着いたカンディド・ドゴイに住む女性に人体実験を行い、現在になってその研究が実を結んだのではないかとするアルゼンチン歴史家の推論を紹介している。また中国でも、今年3月に湖北省竹渓小山村に住む400人ほどの集落で、約70家族に10組の双子がいると話題になった。

いずれのケースも双子が多く誕生する理由は科学的に解明されていないが、スリビージュ博士が語るように不妊治療の一助となるならば、研究が進んで原因が特定されることに期待したい。

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