F1来季からのレース中給油禁止や予算制限導入発表、各チームから賛否両論。

2009/05/02 14:21 Written by Narinari.com編集部

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4月26日に行われたバーレーングランプリ(GP)でホンダを引き継いだブラウングランプリのジェンソン・バトン選手(英国)が3勝目を挙げ、勢力図が一変している今季のF1。まだシーズンが始まったばかりだが、国際自動車連盟(FIA)は4月30日に行われた会合の後、早くも来季からのルール変更事項を発表した。

英紙サンによると、変更点はレース前のタイヤウオーマー使用やレース中の給油を禁止するほか、各チームに燃費向上やコスト削減を促すなど。また、レースの最大エントリー台数を現在の24台から26台に増やし、新規参入を促進するという。最大の注目は、チームの年間運営予算を4000万ポンド(約59億円)に制限する点だ。この制限を適用するかは各チームの任意だが、適用した場合は多くのメリットを与える仕組みになっている。

そのメリットとは、エンジン回転数の無制限化、風洞システムやテスト走行の自由化など、近年制限されてきたルールを外す内容。チームにとって魅力的ではあるが、現在一部のチームでは制限の4倍となる年間1億6000万ポンド(約236億円)の運営予算をかけているという。そのため、資金が豊富なチームは不満を示している。

この発表を受けて英放送局BBCは、今季のポイントリーダーを走るバトン選手のコメントを紹介。同選手は「ビッグチームが予算制限を望まないのはわかっているが、われわれのチームにとっては将来のために必要だ」と語っている。ホンダの撤退を受けて開幕直前に急遽スタートしたブラウングランプリ。先日は従業員を削減するなど予算が厳しい状態の同チームにとって得られるメリットは大きく、予算制限を歓迎しているようだ。

続けてバトン選手は「われわれやウィリアムズなど、いくつかのチームはこの決定に満足している」と明かした。一方で、フェラーリのルカ・モンテゼーモロ会長は、この削減案導入に「不公平で偏ったチャンピオンシップになる」と主張。またマクラーレンのマーティン・ウィットマッシュ最高経営責任者は「予算制限の導入が最高の解決策になるかはわからないが、参加チームに制限ありとなしの2つの予算枠が存在するのは理想的でないだろう」との懸念を示した。

チーム間の予算格差は、以前から議論されてきたこと。強いチームは勝利を重ねてさらに莫大な資金を手にし、開発を強化する一方で、弱いチームは資金を得られず開発が遅れ、格差が拡大することが指摘されている。しかし、今季はそれまでの勢力図ががらりと変わり、資金豊富なチームでもマシン開発やテスト走行規制のルールが設けられたことでなかなか浮上のきっかけを見出せていない。そこに追いうちをかける今回の予算制限導入により、何度となく噴出しているメーカーチーム撤退問題を助長するのではないかと懸念する声もあるようだ。

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