住民の感動呼ぶ2人の少女の物語、中国の“街灯下の授業”が話題に。

2009/05/01 14:00 Written by Narinari.com編集部

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地元紙に掲載された1枚の写真で脚光を浴びることになった二人の少女。一人の少女は何不自由なく暮らし、もう一人の少女は衣食住ままならない生活を送っている。しかしながら、二人の少女にとって天と地ほどかけ離れた境遇の差は意味をなさない。急速な経済発展が進む中、なかなか改善されない中国の貧富の差。これは、そんな“闇”に一筋の光を差し込む物語だ。

広東省深セン市の暗い街頭の下、勉学に励む二人の少女が注目を浴びている。一人は10歳の李恵玲、もう一人は12歳の陳玉梅。本来ならば、ともに小学校に通う年齢だが、李恵玲は学校に通っていない。李恵玲は数か月前に母親に連れられて深センに来たものの、生活のめどが立たず、街を流浪する日々を送っているからだ。

李恵玲の母親である李鳳は10年以上前に広東省の男性と結婚。二人の娘を出産したが、数年前に離婚した。離婚後、李鳳は一度実家に戻ったものの生活が安定せず、仕事を求めて数か月前に深センに来たとのことだ。しかしながら、頼みの綱であった知人に会えず、仕事もまったく見つからない。気付くと娘の李恵玲とともに街頭をさ迷う生活が始まっていたという。現在は、街の人たちが好意で提供してくれる食事を頼りに生活をしているそうだ。

李鳳は、李恵玲が同年代の子供たちの登校姿を羨ましそうに眺めている時がとても辛いという。勉強が大好きな李恵玲は、母親を先生代わりに勉強済みの2年生向け教科書を毎日毎日読み返しているとのこと。もし深センに来て順調に事が進んでいれば、今頃は小学校で3年生の教科書を読んでいるはずだった……。

そんな生活に変化が訪れたのは、李恵玲が大好きな絵を通じて一人の少女と出会ってからだ。毎日、李恵玲の側を通りかかっていた小学校4年生の陳玉梅。ある日、陳玉梅が手にしていた絵にいたく感動した李恵玲は、彼女に話しかけ、そこからすべての交流が始まったと地元紙は報じている。事情を知った陳玉梅は、毎日学校が終わるとそのまま李恵玲のもとへ行き、街灯の下で教科書を読み聞かせてあげたり、絵を描いてあげたりしている。二人の姿を見た街の住人によると、李恵玲はその日街で見聞きした話を、陳玉梅はその日学校で見聞きした話を互いに教えあい、いつも二人して大笑いしているのだという。

二人の少女を取材した地元紙の記者が言うには、陳玉梅は自分の学校名を一切漏らさなかったそうだ(※ただし、最新の報道では陳玉梅の小学校は深セン市南山区にある「南海小学校」と伝えられている)。しかしながら、彼女がどこの学校に属していようと、それは関係のないこと。二人がともに過ごした“街灯下の授業”は、二人の心に永遠の思い出として刻まれたに違いない。

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