昨年まで指揮を執った岡田彰布前監督に代わり、真弓明信監督を迎えた新体制で臨んでいる今年の阪神。4月21日終了時点で15試合を消化し、6勝8敗1分けの4位と、まだシーズンは開幕したばかりとはいえ、ファンの期待に添う結果とは言い難い状況が続いている。スタートダッシュでつまづいた要因は、正妻の矢野輝弘捕手や先発ローテーションの軸として期待された岩田稔投手、久保田智之投手の故障・離脱に加え、真弓監督の采配や選手起用への迷いを指摘するファンも少なくないが、そうした要因とともに語られることが多いのが、新外国人のケビン・メンチ外野手の極度の不振だ。
メンチ選手は昨年オフ、「メジャー通算89発」の触れ込みで入団した“期待の大砲”。レンジャーズに所属していた2004年には26本、2005年には25本の本塁打を放つなどの実績を残し、昨年は控え選手ながらブルージェイズでプレーするメジャーリーガーだった。阪神は長年の課題である「打てる外国人選手」としてメンチ選手に白羽の矢を立て、1年1億8,000万円の高年俸で契約を結んでいる。
あまり活発な補強を見せなかった昨年オフの阪神にとって、メンチ選手はある意味“目玉”の選手。ところがオープン戦からの打撃不振が解消されないままシーズンに突入、現在まで13試合に出場し、打率.167、2打点、0本塁打(48打数8安打1四死球1盗塁)の成績にとどまっている。そのため阪神公式サイトの掲示板には「もういいだろ」「ほかの選手を使え」など、怒りの声が噴出。そこから飛び火し、球団の編成や真弓監督の起用法批判へと発展する事態となっていた。
そうした中、22日付けの出場選手登録異動公示で、メンチ選手の2軍落ちが明らかになり、昨年育成選手から1軍入りを果たしたアーロム・バルディリス内野手が代わって1軍に昇格。2軍落ちの理由は「腎機能障害の疑い」による体調不良だという。
今回の降格は体調不良とはいえ、阪神の南信男球団社長はセ・リーグ各球団との対戦が2巡する5月10日前後までと猶予期間を設定しているだけに、メンチ選手にとってはピンチ。体調を整え、2軍でプレーを再開後も結果を残せない場合には、最悪のシーズン途中解雇も現実味を帯びてきそうだ。