スポーツ飲料は口に含むだけで運動能力を高める? 英研究者が検証。

2009/04/15 23:56 Written by Narinari.com編集部

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運動時の水分補給やエネルギーの吸収を目的に開発されたスポーツ飲料。運動能力の低下を防ぐために今や欠かせない飲み物となっているが、パフォーマンスを高めるには実は飲まなくても口に含むだけでよいという研究結果を、英国のバーミンガム大とマンチェスター・メトロポリタン大の研究チームが医学誌「ジャーナル・オブ・サイコロジー」で発表した。

研究では、1グループ8人の自転車競技選手に対して、ブドウ糖を6.4%含んだ飲料および人工甘味料のサッカリンを入れた飲料を与え、摂取後のタイムを比較。もう1つのグループには、モルトデキストリンを6.4%含んだ飲料およびサッカリン入り飲料を与えて、同様にタイムを比較した。モルトデキストリンはブドウ糖と同じく炭水化物から作られる糖分で、ブドウ糖に比べて味がない。このため、味の違いをなくすよう、各飲料は別の甘味料によってすべて同じ甘さにされた。

その結果、ブドウ糖飲料を摂取したグループは、サッカリン飲料を摂取した時に比べてタイムが平均で1分縮んだ。同様に、モルトデキストリンのグループでは、平均2分短縮したという。

研究を主導したバーミンガム大のエドワード・チェンバース博士は「スポーツ飲料に含まれる炭水化物が体にもたらす効果は、筋肉にエネルギーを提供するだけでなく、口内の受容体から直接脳にシグナルを送り込むという作用も重要だろう」(英紙デイリー・テレグラフより)とコメントした。炭水化物の存在を口の中で感じ、その信号を脳へ送ったことがパフォーマンス向上につながったようだ。そのため、スポーツ飲料は飲まなくても口に含むだけで効果が得られるという。

また、チェンバース博士は「脳は筋肉や心臓、肺の動きを制限しないが、脳自体はそれら器官から受け取る情報に基づいて活動する」との理論を紹介。今回の研究はこの理論を裏付け、脳に直接エネルギーを与えて状況の認識力を高めることがパフォーマンスの向上を助けているとした。

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