事件現場付近の「外出禁止措置」で昼休み取れず、市職員が怒りのクレーム。

2009/04/15 21:44 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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ここ数週間というもの、米国では一度に多数の市民が犠牲になる銃乱射事件が相次いでいます。銃社会ゆえに起こる事件とはいえ、あまりにも立て続けに起こる痛ましい出来事に、米市民も不安を隠しきれません。模倣犯、経済悪化によるモラルの低下など、こうした事件が起きる背景にはいろいろな要因が考えられますが、やはり無差別に人の命が奪われることには、やり場のない悲しみと憤りがあります。

ニューヨーク州中部にあるビンガムトンの移民支援センターで、今月初めに起こった銃乱射事件では、犯人が13人を殺害、4人に重傷を負わせたあと自殺を図りました。普段ならもの静かな大学都市での事件に、住民らも大きなショックを受けることになりましたが、その人々の感情を逆撫でするような行動を取った市の行政職員が問題となっています。

問題の職員は、事件のあった移民センターから目と鼻の先にある社会福祉関係のオフィスで働いている人物。なんでも事件のあった当日、安全のために現場の周囲には厳戒態勢が敷かれていて、人々には建物内に留まるように警察から通達があったのです。外出禁止の通達は事件発覚から数時間に渡って出されており、その間にランチタイムも含まれていました。

しかし、この職員は昼休みに自由な行動ができなかったのは「職員の権利を保証する雇用法に違反する」として、後日、市を相手取り苦情を申請。自由を侵害されたのだから、それに対する弁償をしろ、とクレームを付けてきたというのです。

昼休み返上で働かなければいけない、というのは確かに米国人の感覚では有り得ないことかもしれません。しかし、それもケース・バイ・ケース。特に今回のように痛ましい事件が原因であり、外出禁止になったのは、警察が人々の安全を考えての上で通達してきたことですから、それに文句をいうのはお門違いというものです。

この職員の訴えに、ビンガムトン行政局も「これほど恥ずかしいことは、経験したことがない」と眉をひそめています。

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