中国のニセモノ文化は生活を豊かにした? 約半数は「はい」と回答。

2009/04/08 18:53 Written by Narinari.com編集部

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中国のポータルサイト「捜狐」で行われた「ニセモノ文化は生活を豊かにしたか?」というアンケートで、賛成意見が反対意見がほぼ同数の票を獲得するという結果が出た。この結果から分かるのは、日本人の想像以上に、中国ではニセモノ品が市民権を得ている現実だ。

中国でニセモノを意味する言葉「山塞」は、もともと「盗賊や反政府勢力が、政府当局から逃れるために山中に築いた砦」を意味する。最近、日本のメディアなどでもときおり取り上げられているが、「山塞」という言葉が中国で広く知られるようになったのは、山塞機と呼ばれる、携帯電話をはじめとしたニセモノ電化製品による影響が大きい。

「南方週末」の報道によると、中国では2007年に5.48億台の携帯電話が生産されたが、その中に山賽機が約1.5億台含まれているそうだ。つまり、年間生産台数の約4分の1がニセモノ携帯電話ということになる。そしてこの数字は、とどまるどころか年々拡大を続けている状況だ。

中国では、携帯電話だけでなく、ルイ・ヴィトンやグッチ、プラダなどの高級ブランド品、ゲーム機、自動車、テレビ番組、有名芸能人に似た「山塞芸能人」など、ありとあらゆるものにニセモノ文化が根付いている。07年、日本で「マクドナルドとケンタッキーフライドチキンの融合か?」と揶揄されたファーストフード店「マクタッキー」もニセモノ文化のひとつと言えよう。

こうしたニセモノ文化に対する中国人の反応は、そのほとんどが「笑って済ませられる」程度。街中を歩けば、ルイ・ヴィトンやプラダのニセモノ鞄を小脇に抱えた女性たちを多く見かける。中国では「ニセモノ=一般的」となりつつあるのだ。

もちろん、多くの中国人が好き好んでニセモノ品を購入しているわけではない。ニセモノ品は性能もアフターサービスも信頼がおけないのは重々承知である。しかしながら、中国の低所得者層に外国ブランドの正規品を購入するゆとりがないのも事実。毎月家族への仕送りを義務づけられている彼らにとって、給料数か月分もの支出になる買い物は不可能に近い。マイクロソフトが以前、ニセモノ品対策にと「ウィンドウズ・ビスタ」の価格を半額以下にしたことがあったが、街のDVDショップでは1枚10元(約150円)もしない価格でニセモノ品が売られていたため、結局見向きもされなかった。

今回のアンケートで、ニセモノ品は中国の消費者から文化レベルで受け入れられている現状が浮き彫りとなった。中国政府はあの手この手でニセモノ品撲滅対策をおこなっているが、その効力は微々たるものだ。諸外国からのプレッシャーが強くなる反面、ますます発展を続ける中国ニセモノ文化。果たしてこの「戦い」に終わりは来るのだろうか。

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