アレルゲンを嗅ぎ分ける「介助犬」、米国での新しい試みが話題に。

2009/04/03 14:16 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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コロラド州のモニュメントという町に住む8歳の女の子、ライリー・メールちゃん。彼女の傍らにはいつも犬のロッコーが一緒です。でもロッコーは、ただのペットではありません。ライリーちゃんの命を守るという、大切な仕事を担った「介護犬」なのです。

ライリーちゃんは重度のピーナッツ・アレルギーを持っています。アレルゲンとしてのピーナッツはとても強い反応を引き起こし、鼻炎、蕁麻疹、喘息、嘔吐や下痢といった症状から、意識喪失、呼吸器困難といった命に関わる、過度のアレルギー反応の「アナフィラキシー・ショック」を引き起こしやすい食品としてよく知られています。食べるだけでなく、肌に触れたり、粉末を吸い込んだだけでも、このようなアレルギー反応が起こるそうです。ライリーちゃんの場合、反応が起こってから10分以内に治療を施さないと、ショック死してしまう可能性もあるのだとか。

米国では特に子どもに多いアレルギーの一種であり、学校などではピーナッツの持ち込みを全面禁止にしている場合もあります。それでもクッキーや、子どもに人気のサンドイッチ(ピーナッツ・バター&ジャム)の材料として使われることも多いので、誤って持ち込んでしまうケースも多いようです。

そのせいでライリーちゃんは、今まで安心して学校に通うことができなかったそう。危険なのは学校だけではありません。ショッピングモールやレストランといった色々な公共の場にも出かけることが難しかったそうです。しかし、そんな生活は誰にとっても困難。ライリーちゃんの親も心を痛めていました。

しかし、そこに救世主として現れたのがロッコーでした。犬の鋭い嗅覚を利用して、爆発物や違法薬物などを探し出す警察犬は有名ですが、ロッコーは「ピーナッツの匂いに気付いたらその場に座る」という訓練をされています。そのためライリーちゃんは、ロッコーが示した場所を避けるようにして、アレルギーから身を守ることができるワケです。ちなみに特別な介助訓練を受けた犬は、米国では引き取るのに数百万円かかることもあるそう。しかしロッコーは、周囲の寄付によってライリーちゃんにプレゼントされました。

おかげで今では、ライリーちゃんはほかの友達と同じく、学校のカフェテリアでランチを楽しめるそう。もちろんロッコーは「介助犬」ですから、彼女が行くところすべてに付いていくことができます。少女のもとに常に寄り添う犬というのは、ただでさえ大変愛らしい絵ですが、ライリーちゃんとロッコーの場合、また違った意味で心を打たれますね。

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