「妊婦の飲酒は胎児に良くない」パブの従業員が妊婦を追い出す。

2009/04/01 20:10 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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胎児性アルコール症候群という言葉を聞いたことはあるでしょうか。妊娠中のアルコール摂取が胎児の発達を阻害し、産まれてきた後の成長に悪影響を及ぼす疾患のことです。知能障害や身体的な発育不全など、いろいろな症状が出ると言われていますが、容姿に共通する特徴があることでも知られています。

この胎児への影響を重く見た欧米では、妊娠時の禁酒を強く勧めています。一部の研究結果から「時々の飲酒なら影響はない」との見解も出されていますが、「飲まないほうが良い」という教育を徹底しているようです。実際に米国でお腹の大きな女性がお酒を飲んでいたら、白い目で見られるのは間違いありません。それは英国でも、そして日本でも同様でしょう。

英国イースト・サセックスにある街・ホーブで、友人らと一緒にパブに来ていた妊婦がお酒を注文したところ、マネージャーが憤慨して彼女を追い出したという一件がありました。この女性はすでにビールを一杯飲んでおり、さらにもう少し……と再び注文したそう。その2度目のオーダーを店側が断ったところ、納得がいかない妊婦は友人のグラスに入ったお酒を飲み始め、それに気付いたマネージャーが憤慨してしまったのです。

しかし追い出された妊婦も、

「こんなに恥をかかされたのは生まれて初めて」
「私がした程度のことで、子供に悪影響があるとは思えない。私なりに気をつけている」
「パブ側の言い分も判らなくはないけど、あんな風に傲慢な態度で追い出すのはおかしい」

と、怒り心頭。母体と産まれてくる子供の身体は自分が管理するもので、人に指図される筋合いはない、といった主張なのです。「普段はほとんど飲んでいないけれど、パブに行った日は特別な時だった」「少しぐらいの飲酒ならOKなはずだ」とも語っています。

パブと女性のそれぞれの主張は、どちらが正しいとは判断が難しいところですが、パブの経営者はマネージャーの態度に問題がなかったかどうかの調査を行うと女性に約束。不愉快な思いをさせたことについても謝罪しました。ただし、パブの従業員らは今でも自分たちの行動は「母親と胎児両方の健康を考えてのこと」として、女性に謝る予定はないそうです。

さて、アナタならどちらの立場に同意しますか?

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