イングランド代表監督がベッカムの活躍に期待、米国復帰後も招集か。

2009/03/23 09:17 Written by Narinari.com編集部

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2010年ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会欧州予選ウクライナ戦が、4月1日に迫っているイングランド代表。招集メンバーはまもなく発表される予定だが、同代表のファビオ・カペッロ監督が英紙ニュース・オブ・ザ・ワールドに対し、6月までミラン(イタリア)への残留を決めた代表候補MFデビッド・ベッカム選手の招集について言及した。

イングランド代表は現在、欧州予選グループ6で全10試合中4試合を消化し全勝。ライバルのクロアチアに勝ち点差5をつけ、早くも独走態勢に入っている。ローマやミラン、レアル・マドリードなどの名門クラブを国内リーグ優勝に導いたカペッロ監督は、母国イタリアサッカー特有の「負けない試合」を目指すあまり、守備偏重で魅力の乏しい戦術に批判の声も上がっていた。

しかし、イングランド代表監督に就任してからは、2008年欧州選手権出場を阻止されたクロアチア代表に大勝するなど攻撃力も引き出し、当初は監督就任に懐疑的だった英メディアからの評判も良い。また、ロサンゼルス・ギャラクシー(米国)移籍後に代表から遠ざかっていたベッカム選手のミランへのレンタル移籍を仲介するなど、ピッチの外でも代表のために力を注いでいる。

2月のスペイン戦出場で代表歴代2位タイの108試合出場を果たしたベッカム選手だが、6月までの期限付きながらミランへの残留が決まったことについて、カペッロ監督は「私はその決定に関わっていないが、とても嬉しい」(ニュース・オブ・ザ・ワールド紙より)と発言。ミラン移籍の際の騒ぎもあってか、残留への自身の関与を否定した。また、世界トップレベルの試合に出場していない選手は招集しないとする同監督の“不文律”を持ち出し、「それがベッカムが代表に残る理由になる」(同紙より)とミラン残留がベッカム選手の代表入りに不可欠な条件だったことを明かしている。

代表ではベッカム選手と同ポジションの新星、セオ・ウォルコット選手(アーセナル)が活躍していたものの、21歳以下(U-21)代表に招集されたほか、再度のケガでウクライナ戦への招集が見送られるのは濃厚だ。そのため、3月28日のスロバキア戦(親善試合)と4月1日のウクライナ戦に出場すれば、歴代単独2位の110試合出場となるベッカム選手の出場に期待がかかる。

また、同ポジションにはウォルコット選手だけでなく、ショーン・ライト=フィリップス選手(マンチェスター・シティ)ら若手選手が台頭しており、U-21代表に招集されたアーロン・レノン選手(トッテナム)もフル代表招集の可能性が残されている。しかしカペッロ監督は、ベッカム選手より年齢が上ながらイタリア代表で主将を務めるファビオ・カンナバーロ選手(レアル・マドリード)らの名前を挙げた上で「私にとって重要なのは、年齢でなくプレーの質だ」(同紙より)とベッカム選手の重要性を語った。

カペッロ監督が頑なにポリシーを貫けば、7月以降は来冬まで米国でプレーする予定のベッカム選手が、代表でW杯予選を戦えるのはあと3試合となる。それまでにイングランド代表が本大会出場を確定させ、来年にミランへ戻った時にじっくりW杯に向けて調整するというのがベッカム選手の目論見だろう。

規律重視の「鬼軍曹」と呼ばれるカペッロ監督だが、国内カップ戦(リーグ杯)で活躍したマンチェスター・ユナイテッドの控えGKベン・フォスター選手の代表入りを明言するなど、勝利に向けて“不文律”を破ることも辞さない構えだ。年齢的にはW杯出場最後のチャンスとなるだけに、並々ならぬ執念を燃やしているベッカム選手。カペッロ監督に対して今回の代表戦出場でアピールができれば、米国復帰中も代表招集という例外が勝ち取れるかもしれない。

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