「困った時の神頼み」という言葉どおり、この不況のさなか、寺社を参拝する人も少なくない。こうした中で、長野県飯田市にある「貧乏神神社」を訪れる人が増えていると、ロイターが世界に向けて発信している。神仏にお願いをするときは通常、手を合わせて礼儀正しく祈るが、この神社は叩いたり蹴飛ばしたりするユニークな参拝方法でも人気を集めているようだ。
「貧乏神神社」は、1998年9月に元銀行員の櫻井鉄扇さんが創建した神社。祭神は、とりついた人間の金を奪う一般的な「貧乏神」ではなく、人間の心の貧しさを指しているという。そのため、参拝方法も通常の神社とは異なっており、貧乏神の像「ご神木」を3回叩いて3回蹴飛ばし、豆を投げ付けて「良い事ある、ある! ある!」と念じるのだとか。
3回ずつ叩いて蹴飛ばすのは、「3と3で貧乏神様が散々に逃げて行くというシャレ」とのこと。つまり、神様にお願いする「他力本願」ではなく、自分自身を強くする「自力本願」を主眼としているのだろう。「見に来るだけの人はお断り」と冷やかし客を拒む姿勢も、「何事もプラス思考で貴方の弱い心を鍛える」とするこの神社の前向きな気持ちの表れなのかもしれない。ちなみに、入場料は100円となっている。
東京から車で4時間という地理的に決して便利な場所ではないが、ロイター通信が「ここ数カ月の間に何千人もの人々が参拝した」と報じたように、厳しい不況で訪れる人が増加している模様。また、東京都江東区の「亀戸分社」、長野県茅野市の「諏訪分社」、静岡県森町の「三倉分社」など各地の分社も人気のようだ。
この不況で先が見えないという人が多いのも事実。何もしないよりは「貧乏神神社」を参拝し、ユニークな経験をするだけでも心が元気になりそうだ。