SNSが脳の発達を妨げる? 英神経科学者がADHDの増加を懸念。

2009/02/24 23:57 Written by コジマ

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日本だけでなく、世界中で流行しているソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)。多くの人がそこで交流し、趣味について語ったり、交友関係を広げたりしている。一般に浸透してからまだ日は浅いが、もはや不可欠なコミュニケーションツールと言えるのではないだろうか。

そんな中、英オックスフォード大リンカーンカレッジのスーザン・グリーンフィールド教授(神経科学)が、子供の頃からSNSに触れていると脳の発達を妨げ、成長したときに注意欠陥・多動性障害(ADHD)を引き起こす恐れがあることを警告している。

グリーンフィールド教授によると、幼い頃からSNSに熱中した場合、両親と情報交換する機会が失われるだけでなく、即座にコミュニケーションを取ったり、回答や情報が得られたりする状況に慣れてしまうという。そのため、ディスプレイから離れて集中することを嫌がり、ネットと比べてテンポの遅い外の世界でもすぐに満足感を得ようとする自己中心的な性格になるとしている。

さらに同教授は、こうした状況が薬物中毒と同じく脳の発達を妨げるとし、発達障害や行動障害の1つとして日本でも注目されるようになったADHD症例の増加を懸念。英紙デイリー・メールに対して「この現象はあらゆる世代で起こる可能性があるが、大人と違って子供の脳は未発達。より衝撃は深くなる」との見解を示した。

また、「子どもはなぜモンスターになるのか」(小学館)の著者である英教育評論家のスー・パーマー氏は、同紙に「現代の子供たちは、これまで私たちが1000年にわたって行ってきた行動に関わろうとしない。私は、そうした子供たちが脳の発達に障害を来たしているのを見てきた」「最新技術やコンピュータに反対しているわけではないが、子供たちがSNSを始める前に本当の人間関係を作る手段を学ぶ必要がある」とのコメントを寄せている。

これに対し、同紙や英紙ガーディアンの電子版にはそれぞれ140件を超えるコメントが読者から投稿されているが、大半が「グリーンフィールド女史は因果関係が希薄な2つの事柄を強引につなげている」「彼女の論拠となっているのは何? 研究結果はどこにもなく、すべて『彼女が言った』『彼女が警告している』ばっかり」「何でSNSだけなんだ。言うならネット全体だろ」などの批判だ。

その一方で、「これは一笑に付すべき問題ではない」「現代の子供たちの脳が未発達なのは、科学的に証明されている」「いや、これが新しい脳の発達なんだよ。彼らは現在よりも良い世界を築いていくんじゃないかな」との意見もあり、活発な議論が繰り広げられている。

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