ナイフで脅した強盗が逆に刺され死亡、「正当防衛」も訴えられる可能性。

2009/02/23 15:56 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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人の少ない通りにあるATM。そんな場所で現金を引き出す時、心のすみで「もしここで強盗にあったらどうしよう……」と思ってしまうことはありませんか? 米国での生活では、なおさらそんな気持ちが強くなります。安全のためにも、暗くなってからはATMには行かない、というのが賢明な判断かもしれません。

カルフォルニア州サンフランシスコから湾を挟んだオークランド地区のある男性は、先日夜の9時過ぎに、ATMでお金を引き出した直後から、男2人が自分の後ろをつけて歩いてくることに気がつきました。

「何かが、おかしい」

と危険を感じた彼は、すぐに友人に携帯電話で連絡を取ります。しかしその直後に男2人に追いつかれ、男性はナイフと銃で金を出すように脅されてしまったのです。身の安全を第一に考えれば、最善の策は黙ってお金を渡すことだったのでしょうが、男性はパニックに陥ってしまったこともあり、抵抗を試みます。強盗グループの一人と取っ組み合いになると、ナイフを奪い取って振り回しました。

犯人たちが自分から離れた後は、必死に逃げることと助けを求めることだけを考えたという男性。近くの警察に駆け込んで、すぐに強盗未遂事件として捜査が始まります。

幸い強盗グループはすぐに身元が判りました。しかし犯人のひとりは、男性が抵抗している最中に胸に重傷を負っていたそうで、自身の家に戻った後、家族の目の前で息を引き取っていたのです。さらにその犯人はまだ18歳の少年だったそう。

もちろん襲われた男性には自分の身を守る権利があり、今回も正当防衛として扱われることになります。しかし犯人の少年が目の前で息を引き取るのを見たという家族は、やり場のない悲しみと怒りを感じており、その矛先は共犯者であるもう一人の犯人と、さらには被害者の男性にまで向いているのだそうです。

警察が正当防衛と判断しているのですから、刑事裁判になることはまずないと思われますが、男性が民事裁判で家族から訴えられることは十分有り得ます。被害者なのに、逆に加害者として扱われてしまう可能性……。腑に落ちない展開になりそうですが、残念ながら米国では十分にまかり通ってしまうシチュエーションです。

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