世界中の映画ファンが注目する米アカデミー賞の授賞式開催まで、あと数時間。今年度は本命「スラムドッグ$ミリオネア」が何個のオスカー像を獲得するのか、それともブラッド・ピット主演の「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」やショーン・ペン主演の「ミルク」による逆転劇があるのかなどが注目されている。
毎年、授賞式前は独特の緊張感が漂っており、今回は受賞結果と目されるリストを某サイトが公表して騒動に発展しているが、そんなアカデミー賞授賞式前夜の張り詰めた空気を和ませてくれるのが、恒例イベントのゴールデン・ラズベリー賞(ラジー賞)。「最低」な作品や俳優を表彰する不名誉な映画賞で、受賞者に贈られるトロフィーは時価5ドルにも満たない粗末なもの。しかし、「ラジー賞にノミネートされない映画こそ最低の映画」という意見もあるようだ。
前回はリンジー・ローハン主演のホラー作品「I Know Who Killed Me」が最低作品賞や最低主演女優賞など8冠を獲得し、同映画賞の歴代新記録を樹立。また、「マッド・ファット・ワイフ」で1人3役をこなしたエディ・マーフィが最低男優賞、最低助演男優賞、最低助演女優賞に選ばれ、リンジー・ローハンとともに個人新記録を打ち立てた。
29回目を迎えた今年度の最低映画賞に選ばれたのは、最多7部門候補だったマイク・マイヤーズ主演のコメディー「愛の伝道師 ラブ・グル」。同作品は最低主演男優賞と最低脚本賞も手にしたため、今回の最多受賞作品となってしまった。
一方、ジェシカ・アルバやキャメロン・ディアス、ケイト・ハドソンらビッグネームが候補となったことで話題を呼んだ最低主演女優賞は、「The Hottie and The Nottie」に主演したパリス・ヒルトンに与えられた。パリス・ヒルトンは同作品で最低スクリーンカップル賞、「REPO! レポ」で2006年以来となる最低助演女優賞も獲得。前回のリンジー・ローハン、エディ・マーフィと並ぶ個人タイ記録となっている。
このほか、最低助演男優賞は「マンマ・ミーア!」のピアース・ブロスナン、最低序章・リメイク・続編・盗作賞は日本公開の洋画で昨年の興行収入1位だった「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」、最低監督賞と最低功績賞は人気テレビゲームの映画版「In the Name of the King: A Dungeon Siege Tale」などを手がけたウーヴェ・ボル監督が受賞。最低功績賞の受賞は、第7回(87年度)の「ジョーズ」シリーズのサメ(ブルース)以来21年ぶりだった。
☆第29回ゴールデンラズベリー賞 結果
◆最低映画賞
「愛の伝道師 ラブ・グル」
◆最低主演男優賞
マイク・マイヤーズ 「愛の伝道師 ラブ・グル」
◆最低主演女優賞
パリス・ヒルトン 「The Hottie and The Nottie」
◆最低助演男優賞
ピアース・ブロスナン 「マンマ・ミーア!」
◆最低助演女優賞
パリス・ヒルトン 「REPO! レポ」
◆最低スクリーンカップル賞
パリス・ヒルトン&クリスティン・レイキンまたはジョエル・デヴィッド・ムーア 「The Hottie and The Nottie」
◆最低序章・リメイク・続編・盗作賞
「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」
◆最低監督賞
ウーヴェ・ボル 「In the Name of the King: A Dungeon Siege Tale」「1968: Tunnel Rats」「Postal」
◆最低脚本賞
「愛の伝道師 ラブ・グル」
◆最低功績賞
ウーヴェ・ボル ※エド・ウッドに対するドイツからの回答として