交渉期限超過でベッカム米国復帰決定か、ミラン側は交渉継続を宣言。

2009/02/15 16:53 Written by Narinari.com編集部

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レンタル移籍中のセリエA・ミラン(イタリア)への完全移籍か、メジャーリーグサッカー(MLS)ロサンゼルス・ギャラクシー(米国)への残留かで揺れるサッカー・イングランド代表MFデビッド・ベッカム選手。欧米メディアの報道が過熱する中、MLSのドン・ガーバー・コミッショナーが移籍交渉期限に設定した2月13日が注目されたが、ギャラクシーのティム・レイウェケ会長が、ミランとの移籍交渉が決裂したことを明らかにした。MLS公式サイトでも、ベッカム選手の3月9日米国復帰が決まったと伝えている。

2月15日にセリエAで首位を走るライバル、インテルとのミラノダービーを控えて盛り上がるミランファンにとって、冷や水を浴びせられた結果とも言える米国復帰決定の報。ミランで出場した6試合では3勝3分けと負けがなく、ベッカム選手に対する称賛の声が大きくなる中、交渉期限が過ぎても決着の知らせが流れることはなかった。

レイウェケ会長は、ミランが移籍金を上積みして再交渉しているとの英紙報道を否定したうえで、「我々はコミッショナーが決めた期限を遵守する。だから、これ以上の交渉はしたくないことははっきりしている」と語り、移籍交渉の終結を宣言。ベッカム選手には「我々との契約があるから戻ってきてくれ、もう悩まないでほしい」とのメッセージを投げかけている。
 
とはいえ、33歳のベッカム選手がワールドカップ(W杯)に出場するチャンスは、恐らく来年の南アフリカ大会が最後だろう。このまま米国に戻るということは、代表からも離れることにも等しい。イングランド代表MFは世界でも屈指の選手層を誇り、またプレミアリーグで活躍する若手も順調に育ってきている。そして何より、現在イングランド代表の指揮を執るのがファビオ・カペッロ監督という点が問題だ。

レアル・マドリード在籍時にも監督と選手の関係であったこの2人だが、当時はクラブ間の話し合いの前にベッカム選手側が突然、米国行きを発表したことにカペッロ監督が激怒。その後、ベッカム選手を試合で起用しなくなった。ところが、リーグ戦終盤に差し掛かりチームが優勝争いに絡むと、カペッロ監督はベッカム選手をスーパーサブとして起用。ベッカム選手も期待に応え、その結果、レアル・マドリードはリーグ優勝をもぎ取っている。カペッロ監督は当時、「ベッカムを外したのは間違いだった」と認め、試合に出場させなかった期間の練習でも手を抜かなかったベッカム選手を「プロフェッショナルな選手だ」とも称賛した。

だからこそ、MLSがシーズンオフの時期に調整させるため自身の古巣でもあるミランへ紹介し、ベッカム選手のレンタル移籍が実現したという側面がある。米国に戻ればカペッロ監督が絶対に代表へ招集しないと宣言したことは、ベッカム選手も十分認識しているはず。ギャラクシーとの契約に見直し条項があったとしても、W杯が来年に迫る中で代表に半年以上空白を作るのは大きな痛手だ。

選手やカルロ・アンチェロッティ監督までもがベッカム選手を必要としている中、本当にミランが再オファーをしなかったかについては疑問が残る。実際、ミランのアドリアーノ・ガリアーニ副会長は2月14日、英放送局BBCに獲得交渉を継続する考えを明らかにした。ギャラクシーの発表についても「相手側の駆け引きであり、まだ交渉期間は残っている」と述べている。

レンタル移籍期間も残り1カ月を切ったが、獲得する選手に関して何かと騒がれはしても、交渉に関してはソツがないと言われるミラン。このまま黙ってベッカム選手を米国に戻してしまうのか、話が収まるにはもうしばらく時間がかかるようだ。

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