チェルシーのヒディンク新監督に待ち受ける困難、代表続投は不可能か。

2009/02/13 11:50 Written by Narinari.com編集部

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2月9日にルイス・フェリペ・スコラーリ監督の電撃解任を発表したイングランド・プレミアリーグのチェルシー。それからわずか3日、現ロシア代表監督のフース・ヒディンク氏の監督就任を発表した。ヒディンク氏は代表と兼任で指揮を執り、就任期間は今季終了まで。2月14日に行われるカップ戦を観戦したのち、チームに合流する見込みだ。一方、就任7カ月でチェルシーを追われることとなったスコラーリ氏について、クラブ側の契約破棄に伴う違約金が750万ポンド(約10億円)に達するとの推測が流れている。

ヒディンク氏は各国の代表監督を歴任し、実績を残してきた経験豊富な名将。1998年ワールドカップ(W杯)フランス大会で地元オランダ代表をベスト4、02年W杯日韓大会で韓国代表をベスト4、06年W杯ドイツ大会でもオーストラリア代表を率いてベスト16に導いている。現在のロシア代表監督に就任したのは06年で、昨年の欧州選手権(EURO2008)ではイングランド代表やオランダ代表を破るなどの旋風を巻き起こした。

また、スペインの名門クラブ、レアル・マドリードやバレンシアの監督も務め、W杯日韓大会後に監督就任したオランダのPSVでは、韓国代表で当時J1京都に所属していた朴智星選手(現マンチェスター・ユナイテッド)を引き抜くなどしてチームの立て直しに成功。02年からオランダ国内リーグ3連覇を達成し、欧州チャンピオンズリーグ(CL)にもコンスタントに出場を果たした。

ヒディンク氏はPSV監督在任中の05年にオーストラリア代表監督にも就任しており、代表とクラブの兼任は初めてではない。しかし、チェルシーのような強豪チームとの兼任は前例のないことだ。

今回の兼任はチェルシーのオーナー、ロマン・アブラモビッチ氏がロシアサッカー協会に強い影響力を持っており、以前からヒディンク氏との関係も良好で、ロシアサッカー協会の交渉許可も出たという見方が有力となっている。

しかし、W杯南アフリカ大会を約1年後に控える中、今夏以降に始まる来シーズンへの続投は現段階では懐疑的。現在、予選グループ2位につけているロシアは、10月に強敵ドイツ戦を控えるなど重要な時期に差し掛かることもあり、よほど先の状況がクリアになっていなければ、ほぼ続投は不可能と思われる。

一方、選手との確執から解任に追い込まれたとされるスコラーリ氏は、チェルシー側が違約金の支払いを行うことで合意したと発表した。金額は明かされていないが、各メディアは750万ポンド(約9億6000円)程度と推測している。

“ほとんど何もしなかった”スコラーリ氏に10億円は驚くべき金額だが、ヒディンク新監督が、多額の収入が見込める来季の欧州CL出場権(リーグ4位まで。チェルシーは現在4位)を手に入れれば、また2月24日に始まる今季の欧州CL決勝トーナメントで勝ち進むことができれば、チェルシーにとってこの違約金は決して高くないだろう。

とはいえ、欧州CL決勝トーナメント1回戦で戦う相手は、アブラモビッチ氏がチェルシーで初めて解任したクラウディオ・ラニエリ監督率いるイタリアの強豪ユベントス。近年の実績や選手層からチェルシーがやや有利と言われているものの、ヒディンク氏にとって就任早々厳しい状況の連続になるのは間違いない。

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