裁判所が両親の親権をはく奪、「アドルフ・ヒトラー」君のその後。

2009/01/19 18:44 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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子どもに奇抜な名前を与えるのは、果たして虐待に値するか? この難しい問題に今、全米が揺れています。

先日ニュージャージーの地方裁判所が、ある夫婦から3人の子どもに対する親権を取り上げる処分を下し、その子供たちを保護しました。しかし、その理由というのが心身的または性的な虐待、はたまた子育て放棄のネグレクトといったものではなく、夫婦が子どもたちに与えた名前が問題だったのです。

ことの起こりは昨年12月。同州はホーランド・タウンシップという地区のスーパーマーケットで、ヒース・キャンベルさんという男性と彼の妻が、バースデー用のケーキを注文しようとした時のことでした。3歳の息子のためだと説明する夫婦が、店員にメッセージを入れるようにリクエストしたまでは良いのですが、それが

「ハッピー・バースデー アドルフ・ヒトラー」

だったというからお店側はビックリ。ナチスに対する反感は、日本とは比べ物にならないほど高いお国柄です。子供のバースデー・ケーキにヒトラーの名をつづるという行為は、それこそ常識では考えられないこととして受け取られます。

そこでお店側はケーキの注文受付を拒否したのですが、今度はそれに対して両親が憤慨。

「子どもの本名をケーキにつづるのが、どこが悪い!」

と反論。騒ぎはメディアにも伝わり、全米で報道されるニュースとなったのです。日本でも米国発のニュースとして報道されていたので、覚えている人も多いかもしれません。米国ではこの一件を機に、「このような名前を子供に付けることは倫理的に正しいのか?」との論争が巻き起こりました。

この騒動は、その後どうなったのでしょうか。

ケーキ店での騒ぎは一時沈静化の兆しを見せたものの、先にご説明した通り、地方裁判所による親権剥奪の決定が下され、再び関心を呼んでいます。そしてアドルフ君のみならず、彼の妹2人(彼女たちもナチスに関連した名前を持っている)も保護されるという結果になりました。

キャンベルさん夫婦は、ナチスのマークを家に飾り、ネオナチのグループに所属していたことがあるなどのヒットラー支持者らしいのですが、米国ではかなり反社会的に見られていることに、

「なぜなのか、全く理解できない」

と嘆いているのだとか。ただ、彼らは愛する子どもを1日でも早く取り戻したいと、願ってやまないそうです。

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