販売開始から27年余、レーザーディスクプレーヤーの生産に幕。

2009/01/14 16:56 Written by Narinari.com編集部

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1977年にフィリップスが開発、日本では1980年代初頭からパイオニア主導でプレイヤーが投入されてきたレーザーディスク。当時の映像再生機器の主流だったVHSビデオに比べて、光ディスクならではの「格段に美しい映像」が売りのレーザーディスクは、オーディオマニアやアニメファンを中心に人気を博したほか、カラオケの映像を収録したいわゆる「レーザーカラオケ」も、配信型カラオケシステムの登場前夜には一時代を築いた。そんなレーザーディスクが、いよいよ歴史に幕を閉じる。

パイオニアは1月14日、レーザーディスクプレーヤーの生産終了を発表した。同社は2002年の時点ですでに撤退の方針を固めていたが、その後も細々と生産を継続。豊富なソフト資産を持つユーザーに対応してきたが、ついに今後生産する4機種、約3,000台をもって、完全撤退する決断を下した。生産中止の理由は「DVDやBD(ブルーレイディスク)などの新たなメディアが市場に定着する中、生産に必要な専用部品の調達が困難となったため」としている。これまでの国内累計販売台数は約360万台。

修理対応は今後もレーザーディスクプレーヤーの機能を維持するために必要な部品の最低保有期間(各機種の生産終了時を起点として8年間)は継続する。また、この期間を経過しても修理に必要な部品在庫がある場合は、修理対応するため、当面はユーザーも安心して使用を続けることができそうだ。

なお、レーザーディスクソフトは2007年3月に唯一のディスクプレスメーカーだったメモリーテックが製造ラインを廃止。すでに世界中で新しいソフトが出ない状況となっている。ちなみに、最後にプレスされたソフトは川中美幸の「金沢の雨」だった。

レーザーディスクはその先進性や映像の美しさは高く評価されたものの、「録画ができない」という規格上のルールが定められていたために、すでに普及していたVHSビデオの使い勝手の良さの前に当初から苦戦。また、レンタル禁止の「販売専用」だったため、消費者は購入するしかレーザーディスクに触れる手段がなく、これがプレーヤー普及の妨げになったとする意見は多い。

なかなか普及の兆しが見えず、モタモタしている間にDVDが登場し、「高画質」「レンタルOK」「3000〜4000円台が主価格帯(当初。レーザーディスクは5,000円前後が多かった)」「CDと同じコンパクトサイズ」「録画も可能(当初は再生のみ)」と、レーザーディスクの欠点だと言われていた部分をすべてカバーした新たなメディアの登場に、ソフトメーカーはこぞってDVD陣営に“移籍”。レーザーディスクの敗北は決定的なものとなり、現在に至っている。

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