米国のサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融危機の影響は日本にも及んでおり、広告収入が激減したテレビ業界をも震撼させている。民放各局はこぞって経費削減を目標に掲げ、来年4月に向けた大改編の噂が連日のように報じられている状況だ。
こうした中で、1994〜03年に10年連続で年間視聴率4冠王(ゴールデンタイム、プライムタイム、ノンプライム、全日すべてでトップ)を達成するなどテレビ業界の帝王として君臨していた日本テレビが重度の財政危機に直面していると、東京スポーツが報じている。
広告収入激減から苦戦を強いられている日本テレビは、先日発表された中間連結決算が37年ぶりに赤字へ転落。経費節減のため、前身番組から20年間も昼時間帯の“顔”を務めてきた「おもいッきりイイ!!テレビ」を打ち切るとも一部で報道された。また、04年から4年連続でフジテレビに年間視聴率王座を奪われるなど、視聴率低迷も深刻だ。
とはいえ、短期的な視聴率は好記録をマークしており、10月3週目にも4冠に輝いた。11月にはテレビ朝日が同局史上初の5日連続4冠を達成し、社員食堂を1日無料にしてスタッフの労をねぎらったが、日本テレビでは4冠を達成すると局員1人につき1万円の報奨金を配布するのが慣例だという。ところが、10月3週目の4冠達成時に局員へ配られたのは1万円ではなく、映画ペアチケットなどの現品。制作会社スタッフも「まさかこれほど局の財政が苦しいとは…」(東京スポーツより)と驚きを隠していない。
同紙はこのほか、深夜帰宅時のタクシーは相乗り、夜遅くには局内の空調が止まり防寒着を手放せない状態、ロケ弁も制作スタッフには出ないなどの厳しい内情も伝えている。さらに、入社数年目の若手局員が続々と辞めていき、評価主義の弊害で上司に対して意見を述べる人間もいないのだとか。こうしたことから、制作会社スタッフは同局内を「まさに末期的状況」(同紙より)と評している。
こうした現状を打開するには、経費がかかる派手なセットや演出などを排除した内容のある番組作りではないだろうか。最初から高視聴率を目指すのではなく、真摯な内容で視聴者を引き寄せ、その結果に4冠などのタイトルをつかむという、本来の番組作りを期待したい。