虐待の経験をつづった小説の英国人作者、実の母親から虚偽と訴えられる。

2008/11/19 16:31 Written by Maki K Wall@駐米特派員

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ジャマイカから英国へ移民した貧しい家庭に育ち、それでも勉学に励んで、後に初の女性黒人判事となったコンスタンス・ブリスコー女史。その彼女が自身の半生を描いた「Ugly」という自伝小説が2006年に出版され、本国でベストセラーとなっています。

しかしこの本の内容は、彼女がいかにして成功していったのかを語るサクセス・ストーリーではなく、実は彼女が子供時代に受けた母親と義父からの「虐待の実態」を赤裸々に綴ったもの。

例えばタイトルの「Ugly」とは、母親が彼女に付けたニックネーム。義父からタバコを手のひらに押し付けられて大やけどをした経験や、母親から日常的に殴られた結果、後日胸部の手術を受けたことなど、ショッキングな事実が語られています。

そして精神的、身体的に虐待を続けたブリスコーさんの母親は、彼女が13歳の時にとうとう彼女を捨ててしまったそう。でも、こんな辛い経験にも負けず努力して今の社会的地位を得た彼女には多くの共感が寄せられ、アフリカ系移民の憧れとなったのです。

ところが先日、現在74歳になるブリスコーさんの母親が、自伝に書かれた内容はまったくの虚偽だとして、実の娘を名誉毀損で訴えました。母親いわく、

「コンスタンスを『アグリー』といっていたのは、娘本人。自分の肌の色が好きじゃなかったからだ」

自分は11人いた子供たちすべてを美しいと思っていたし、幸せな家庭だったと裁判で主張しているのです。

この裁判はまだ始まったばかりですが、英国では今後の行方が注目されています。

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