米大リーグ・ワールドシリーズ展望、総合評価ではレイズがやや有利か。

2008/10/22 21:38 Written by コジマ

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10月2日に始まった米大リーグのプレーオフもいよいよ大詰め。23日からはア・リーグ覇者のタンパベイ・レイズとナ・リーグ覇者のフィラデルフィア・フィリーズのワールドシリーズが開幕する。ボストン・レッドソックスとコロラド・ロッキーズが対戦した昨季のワールドシリーズ同様、日本人選手が所属するチーム同士の対決となったが、今季のワールドシリーズがこのカードになるとは、メディアや専門家、ファンも予想していなかったのではないだろうか。

その証拠に、開幕前にラスベガスのブックメーカーがつけたレイズの優勝オッズは200倍だった。競馬でいえば万馬券に相当する快進撃を続けた「大穴」レイズだが、フィリーズとともにあまり華があるチームとは言えず、米メディアからはレッドソックスとロサンゼルス・ドジャースの対決が期待されていた。こうしたメディアの態度に対し、ア・リーグ優勝決定シリーズのMVPに輝いたマット・ガーザ投手は「誰も、おれたちがポストシーズンに進むとは思わなかったし、誰もホワイトソックスに勝つなんて思わなかったし、誰もレッドソックスに勝つなんて思わなかっただろ?」と皮肉を含んだコメントを発表している。

しかし、史上まれにみる地味なワールドシリーズに、地元メディアから「レッドソックスとドジャースで3位決定戦を行ったほうが盛り上がるのではないか」とささやかれる始末。日本でも中継を予定していたNHKが地上波の総合テレビからBSでの放送に「格下げ」している。

とはいえ、今季のア・リーグを熱狂させた「ミラクル」レイズと、リーグ優勝決定シリーズでドジャースをほとんど寄せ付けなかったフィリーズの対決は、玄人好みのワールドシリーズと言えるのではないだろうか。

そんなワールドシリーズについて、スポーツジャーナリストの丹羽政善が大リーグ日本語公式サイト「MAJOR.JP」で展望を記している。同氏は、先発投手力ではレイズ、救援投手力ではフィリーズ、攻撃力は互角としつつも、強力打線擁するレッドソックスを打撃戦で破ったことから、レイズが有利と見ているようだ。

それぞれの先発投手4人を比較すると、フィリーズのジェイミー・モイヤー投手が不安定などのファクターからレイズのほうが若干有利だという。丹羽氏は、もし第1戦での先発が予想されているコール・ハメルズ投手で敗戦した場合、フィリーズは一気に窮地に陥る可能性を指摘している。

一方、リリーフ陣はレギュラーシーズンでリードして九回を迎えた場合、79勝0敗というフィリーズが有利。特に守護神のラッド・リッジ投手は、ポストシーズンでも救援失敗がゼロで、中継ぎのライアン・マドソン投手も状態が完璧とのこと。レイズは抑えのトロイ・パーシバル投手を欠いていることが痛手となっている。先発投手では不利だが、終盤までリードを保てればフィリーズの勝利は確実だろう。

攻撃陣では、プレーオフ前に強力打線を擁するフィリーズのほうが上とされていたが、レイズはプレーオフで驚異的な数字を残しており、逆にフィリーズ打線が停滞していることから、丹羽氏は「互角か、ひょっとしたらレイズが上回っているかもしれない」(MAJOR.JPより)と予想。ラスベガスのブックメーカーで付けられているオッズ(レイズ−1.35ドル、フィリーズ+1.15ドル)を紹介しつつ、これらを総じてレイズがやや有利とした。

「月刊スラッガー」11月号で紹介されたプレーオフ勝利の3要素では、「絶対的なクローザー」でフィリーズが上回っていたものの、「奪三振率の高い投手陣」「堅いディフェンス」ではレイズ有利となっており、総合評価ではレイズが「B+」、フィリーズが「B−」とされていた。このデータも丹羽氏の予想と一致していることから、やはりレイズが有利なようだ。岩村明憲内野手と田口壮外野手の活躍にも期待したい。

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