広島・ブラウン監督の権限拡大要求にオーナー激怒、解任の可能性も。

2008/10/18 14:44 Written by コジマ

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阪神独走から一転、終盤は大混戦となった今季のプロ野球セ・リーグ。阪神との13ゲーム差をひっくり返して優勝した巨人もさることながら、クライマックスシリーズ(CS)進出がかかる3位を中日と激しく争った広島も大いに盛り上げてくれた。エースや主砲の流出が相次ぐ中での健闘はプロ野球ファンから称賛を浴びており、来季こそは1997年以来となるAクラス入りが期待されている。

そんな広島を盛り上げているのが、就任3年目のマーティ・ブラウン監督だ。投手の分業制を提案するなど監督としての手腕もさることながら、選手やファンに愛されているのはそのキャラクター。米国時代に3年間で22回の退場を記録した熱血漢ぶりは日本でも発揮され、今季までに星野仙一氏のセ・リーグ監督記録を抜く6度の退場処分を受けている。

ブラウン監督の熱血ぶりは選手が燃え上がらせるそうで、退場した試合は6戦全勝を記録中。また、一塁ベースを投げたり本塁に土をかけて埋めようとしたりなどのパフォーマンスは、他球団のファンからも人気が高い。同監督の「語録」が記された昨年のカレンダーは、あっという間に完売した。

こうして広島だけでなくプロ野球全体の人気者になっているブラウン監督、就任当初に掲げていた「3カ年計画」(1年目に戦力分析、2年目にAクラス入り、3年目に優勝)は果たせなかったものの、松田元オーナーは続投を要請し、来季も指揮を執ることが確実視されていた。

ところが、10月8日に球団側と交渉したブラウン監督は、単年契約と年俸面に難色を示して態度を保留。現在も契約がまとまっていない状態で、10月17日からの秋季練習は指揮官不在のままスタートした。

この秋季練習が始まった日、球団側はブラウン監督の代理人から2度目の返答を受け取ったが、その内容に松田オーナーが激怒。一転して解任の可能性も出ているという。

ブラウン監督は1度目の交渉で11項目の契約条件を提示していたが、今回の返答では契約年数や年俸面ではおおむね合意した。ところが、松田オーナーにとって「最も受け入れ難い」2項目が残っただけでなく、「言うのも恥ずかしい」1項目が増えていたという。

そのうちの1つが、監督の権限を明文化してほしいという要望。これに対して、松田オーナーは「監督の権威を尊重しているのに、権限にしようというものだった。お互いの信頼感の中でやらなければいけないことを契約にしようというものだった」(デイリースポーツより)、「金銭的な部分だけでなく、我々を信用していない。怒らせている!!」(サンケイスポーツより)と怒り心頭の様子。さらに、交渉を打ち切る可能性にまで言及している。

この要望について、スポーツ各紙はブラウン監督の「ごり押し」などと報じているが、同監督が権限の明文化を求めたのは、これまでキャンプでの投げ込み制限や選手起用についてコーチ陣と対立することが多かったため。現場を知らないオーナーが、果たして監督の苦悩をすべて理解しているのかについては疑問符が付けられる。

また、監督の大半が1億円を超える中で、ブラウン監督の年俸は4600万円と格安という点も見逃せない。Aクラス入りを果たしていないこともあるが、オリックスのテリー・コリンズ前監督ですらも1億5000万円を超えていた(12球団最高はロッテのボビー・バレンタイン監督の約3億4500万円)。

すべての権限を明文化する米国流が松田オーナーにはなじまないのかもしれないが、格安年俸で人気・実力ともに上昇させてきたブラウン監督を解任すれば、来季以降、広島に再び「暗黒時代」が到来する可能性もありそうだ。

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