「座布団投げ」に相撲協会が一手、九州場所から新型座布団導入。

2008/10/02 22:34 Written by コジマ

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騒動に次ぐ騒動に翻弄されている日本相撲協会。秋場所終了後も、大麻問題で解雇された元若ノ鵬によってくすぶっていた八百長疑惑が再び注目を浴び、「土足騒動」ではロックバンド「X JAPAN」のYOSHIKIに謝罪するなど、新体制になっても悩みのタネは尽きない。

そんな相撲協会がこれらの騒動以前から頭を悩ませているのが、マス席の観客による「座布団投げ」だ。平幕が横綱に勝利する「金星」など番狂わせがあったときに行われる大相撲独特の習慣で、健闘した力士を称賛する意味が込められている。

この習慣は、江戸時代に行われていた「羽織投げ」に端を発する。この時代は、活躍した力士やひいきの力士が花道に引き上げる際、観客が自分の羽織を投げ込んだ。羽織には家紋や屋号が染め抜かれているので、それを頼りに力士が持ち主に返しにいくとご祝儀などを渡されたという。なんとも粋な話だ。

しかし、羽織が座布団に変化した現在は、ご祝儀を出さないどころか負けた横綱への「ブーイング」と解釈している人も多く、また大関が横綱に勝っても乱れ飛ぶなど、意味合いにも変化が起きている。

さらには、マス席の座布団は意外と重くて硬いため、力士や行事、他の観客などがケガをする恐れも指摘されている。本場所中は場内アナウンスで「座布団を投げないでください」などと呼びかけているが、半ば「伝統」となっているだけに相撲協会も抜本的な対策が取れず、手をこまねいている状態だった。

そんな座布団投げを阻止すべく、相撲協会が新たな対策を講じた。11月9日に始まる九州場所から、4つが独立していたマス席の座布団を縦55センチ、横1メートル25センチほどの長方形の2人用座布団に変更するのだという。さらに、前後に並べた2枚を紐でつないで、物理的に投げ込めないようにするそうだ。

これはマス席の広さ拡張に伴って行われ、発案者である九州場所担当部長の出羽海理事は「どんな座布団なら投げられないかを考えた。4人のうち1人でも座っていれば投げることはできない」(読売新聞より)と語っているという。

乱れ飛ぶ座布団が見られないのは少々寂しい気もするが、危険防止のためにはやむを得ないこと。九州場所だけでなく、全場所で新座布団の導入が期待される。ただ、この座布団が投げられれば、さらに大きな被害が生まれるとの指摘もあるようだ。

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