元若ノ鵬が大相撲の「八百長」告発へ、法廷での証言を約束。

2008/09/29 21:44 Written by コジマ

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横綱白鵬の2場所連続8度目の優勝で幕を閉じた大相撲秋場所。殊勲賞を受賞した関脇安馬が次の九州場所で大関昇進が期待されているほか、優勝争いに加わり敢闘賞を受賞した豪栄道が三役昇進、新三役の把瑠都が勝ち越して関脇への昇進をそれぞれ確実とするなど、若手力士の活躍が角界に明るい話題をもたらしている。

その一方で、朝青龍騒動に時津風部屋の力士死亡問題と、近年の大相撲を取り巻く環境は決して明るいとは言えない。秋場所前にもロシア出身の3力士による大麻吸引疑惑が世間を騒がせたばかりだ。その大麻問題の渦中の人物である元若ノ鵬(本名ガグロエフ・ソスラン)が、昨年に報じられた八百長疑惑に関する講談社と日本相撲協会の裁判で、講談社側の証人として出廷する考えを示した。元若ノ鵬は9月29日に会見を開き、自身が八百長に関わっていたことを示唆している。

「週刊現代」によってスクープされた八百長疑惑は、朝青龍が白星を80万円で買っていたのではないかというもの。15回の優勝のうち11回金で買ったものだとしている。また、2006年の名古屋場所千秋楽で、綱取りを目指す白鵬(当時大関)と朝青龍の取組で行われたというもの。白鵬の師匠である宮城野親方と「愛人女性」との間で交わされた会話が掲載され、朝青龍の八百長疑惑も裏付ける内容だった。

これに対して日本相撲協会は静観の構えをみせていたが、「週刊現代」はこの会話のテープを同誌オンライン版に公開。同年7月に日本相撲協会と朝青龍らが発行元の講談社などに損害賠償を求めて訴訟を起こし、現在も係争が続いている。

元若ノ鵬は29日の会見で「現在の相撲協会は汚い。幕内に上がったらアンフェアな取り組みを強いられ、お金を渡された。それを断るとかわいがりをするといわれた。親方も黙認していた」(サンケイスポーツより)と発言。10月3日に行われる弁論に講談社側の証人として出廷する意向を示した。さらに元若ノ鵬は、大麻問題について他の力士も吸引していることを示唆し、「その他の協会の悪事についても証言していく」(同紙より)と述べている。

大相撲の「八百長」は古くから取りざたされており、「週刊現代」はこれまで元小結・板井圭介氏による告発や、北の湖(現日本相撲協会理事)と初代貴ノ花の取組で「八百長」があったことなども報じた。

その一方で相撲の歴史は神事からスタートしており、1勝1敗で終わらせることを前提とした「人情相撲」や神様と取ってわざと負ける「ひとり相撲」などの儀式として発展してきた側面がある。スポーツとは違って歌舞伎と同じ伝統芸能でもあるため、「八百長」とひとくくりにすることには賛否があるようだ。

その是非はともかく、大麻騒動との関連によって八百長疑惑も再びクローズアップされることになった。外部理事の招へいを目指すなど改革に乗り出している日本相撲協会だが、この難局を武蔵川新理事長がどう乗り切るのか注目だ。

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